【ハルキゲニ男の未攻略ゲーム愛】2026年07月13日の気になる1本
今日の1本
…ハルキゲニ男です。気になるゲームを紹介します。今日紹介するのは、『Disco Elysium – The Final Cut』だ。
ジャンルはRPG……いや、正確には「ナラティブ・アドベンチャーRPG」とでも呼ぶべき作品だ。エストニアのデベロッパーZA/UMが手がけたこのゲームは、2019年10月に最初のバージョンが発売された。2021年には完全吹き替えと追加クエストを含む「Final Cut」版がリリースされ、Switch・PS5・PCなど多くのプラットフォームに対応している。時代遅れのディスコ音楽を愛する記憶喪失の中年刑事が、冷戦期東欧風の陰鬱な町の一角で起きた「吊るされた男」殺人事件の真相を追うミステリー・コンピュータRPGだ。主人公の探偵は、ゴミ溜めのようなホステルの部屋で、二日酔いを引きずり、過去の記憶がまったくない状態で目を覚ます。Revacholの町で起きた殺人事件を調査しながら、探偵の身に何が起こったのかを明らかにしていくことになる。戦闘パートは存在しない。練り込まれた世界設定のもと、会話とスキルチェックだけで進行する、テキスト勝負の一作だ。ゲーム内には24種のスキルが存在し、それぞれが「人格」としてプレイヤーと会話を行う。”理性”が「それは論理的におかしい」と語り、”衝動”が「今すぐ殴れ!」とささやくような演出は、プレイヤーの精神世界を舞台にしたゲーム構造の一端を担っている。脅迫したり、甘言を言ったり、暴力に訴えたり、詩を書いたり、カラオケを歌ったり、獣のように踊ったり、人生の意味を解決したりする。…要するに、何でもありなんだ。
ゲニ男が気になる理由
これはRPGの形をした「文学」だと思っている。リード・ライター兼デザイナーのRobert Kurvitz氏は、テーブルトークRPGのエバンジェリストでもある。本作の世界設定を構築し始めたのはゲーム開発を始める随分と前のことで、2013年の時点で同じ世界を舞台にした小説を出版している。Steamレビューは圧倒的に好評(93%)で、Game Awards 2019で4冠を獲得した文学的傑作として知られている。各種スキルに人格が備わっているかのように、脳内でコンフリクトを起こし始めるという点でこのゲームは一風変わっている。「論理的に考えるとこういう回答になるが、相手の気持ちを考えるとこう言った方がいい」といった議論が頭の中で絶えず繰り広げられるのだ。……これは体験したい。プレイヤーの「思考」そのものをゲームにしようとした設計思想に、ガチオタクとしての本能が反応するんだ。
ちなみにストーリーには政治・哲学・社会問題が深く絡んでいる。「考えることが好きな人間」にとっての最高の遊び場だ。
こんな人にやってほしい
テキストを読むことを厭わない人、ストーリーで泣きたいのではなく「考えたい」人、そして普通のRPGに飽きてしまった人に向いている。人生のやるせなさの中の、ほんのわずかな一瞬の明るさとか、空虚感をクスッとしながら楽しむ、大人向けのゲームだ。派手な戦闘も美麗なグラフィックも求めていない、ただ「物語の深さ」を求めているなら、これ以上の選択肢はそうそうない。やってみる価値はある。…以上。
