経営戦略講座【初級編】第2回:ビジョンとミッションの設定
サマリ
ビジョンとミッションは企業の進む方向を示す羅針盤です。ビジョンは「目指す姿」、ミッションは「存在意義」を表します。これらを明確に設定することで、従業員の行動が統一され、経営判断がぶれなくなります。成功している企業の多くは、この2つを強く持っています。
詳細
ビジョンとミッションの違いを理解する
経営戦略を立てるとき、ビジョンとミッションは非常に重要です。しかし、この2つを混同している企業は意外と多いです。
まず「ビジョン」は、企業が将来的に目指す姿や状態のことを指します。英語で「vision」は「見える景色」という意味で、つまり「どんな景色を見たいのか」という企業の理想像です。
一方「ミッション」は、企業が社会に対して果たすべき使命や役割のことです。言い換えれば「なぜこの企業は存在するのか」という根本的な理由を表しています。
簡単に言うと、ミッションは「今、ここから出発する」、ビジョンは「そこからどこに向かうのか」という違いです。
ミッションの設定方法
ミッションを設定するには、まず自社の強みや専門性を整理することが大切です。世界的に有名な企業の例を見てみましょう。
あるスポーツ用品メーカーのミッションは「スポーツの力で世界を変える」です。靴を売ることではなく、スポーツを通じた人生の充実を実現することが目的なのです。
また、映像配信サービスのミッションは「世界中の人々を楽しませる」というものもあります。単に映画やドラマを提供するのではなく、エンターテインメント価値そのものを提供するという考え方です。
ミッションを定めるときは「顧客」「社員」「社会」の3つの視点から考えると、より深みのあるミッションが生まれます。自社の存在がこれら3者にどんな価値をもたらすのか、これを基準に考えてみてください。
ビジョンの具体的な立て方
ビジョンを立てるときは「数字」と「期間」が重要です。抽象的では意味がありません。
例えば「世界一の企業になる」ではなく、「2030年までに売上高1000億円を達成し、アジア太平洋地域で市場シェア第2位を占める」のように具体的にします。
経営研究の調査によると、明確なビジョンを持つ企業は持たない企業と比べて、従業員の生産性が平均で28%高いというデータがあります。従業員が目標を明確に理解できるため、日々の判断がしやすくなるのです。
ビジョンを立てる際は、5年後、10年後、20年後と複数の時間軸で考えると良いです。短期のビジョンと長期のビジョンが一貫性を持つことで、企業の信頼性も向上します。
ミッションとビジョンの一貫性の確保
ミッションとビジョンは、必ずつながっていることが重要です。矛盾していては従業員も顧客も混乱します。
例えば「社会に貢献することがミッション」なのに、「利益最大化のみがビジョン」では一貫性がありません。社会への貢献を実現しながら、同時に収益も上げるというビジョンを立てるべきです。
大手企業の調査では、ミッションとビジョンの一貫性が高い企業ほど、離職率が低く、顧客満足度も高い傾向にあります。
組織全体への浸透が成功の鍵
ビジョンとミッションを立てたら、それで終わりではありません。組織全体に浸透させることが最も大事です。
実際、ビジョンとミッションを策定しても、従業員の60%以上がその内容を知らないという企業も少なくありません。これは非常にもったいないことです。
社内研修、ハンドブック、朝礼での唱和など、様々な方法で繰り返し伝えることが必要です。特に新入社員にはしっかり時間をかけて説明しましょう。
ビジョンとミッションが企業文化として根付くと、経営層が指示しなくても従業員が自主的に正しい判断をするようになります。これが組織力の大きな強化につながるのです。
