# 経営戦略講座【中級編】第10回:ブルーオーシャン戦略の実践例と応用
サマリ
ブルーオーシャン戦略とは、競争が激しい既存市場(レッドオーシャン)から抜け出し、新しい価値を創造して独自の市場空間を開拓する経営アプローチです。本記事では、実例企業の成功事例から学ぶ具体的な実践方法と、自社に適用させるための応用テクニックを詳しく解説します。
詳細
ブルーオーシャン戦略の基本をおさらい
ブルーオーシャン戦略は、2005年に経営学者のW・チャン・キムとレネ・モボルニュが提唱した概念です。「レッドオーシャン」は既存産業で多くの企業が価格競争を繰り広げ、血で赤く染まった状態を表します。一方、「ブルーオーシャン」は未開拓の市場空間で、競争相手がいない状態を指しています。
重要なのは、価格を下げて競争するのではなく、顧客にとって新しい価値を創造することです。つまり「競争を避ける」戦略なのです。この考え方は、単に新しい商品を作るだけではなく、業界の常識を覆すような発想の転換が必要です。
実践例その1:ネットフリックスの革命
ネットフリックスは、動画レンタル業界の常識を打ち破った企業です。2000年代初頭、ビデオレンタル店での借り手返しは、延滞料金によるビジネスモデルでした。業界全体がこの収益構造に依存していたのです。
ネットフリックスは「延滞料金なし」という価値を前面に出しました。さらに、毎月定額で見放題というサブスクリプション型のビジネスモデルを導入したのです。当時の業界では考えられない発想でした。その後、配信サービスへの転換により、ビデオテープやDVDという物理メディアそのものを不要にしてしまいました。
2023年時点で、ネットフリックスの会員数は約2億3,000万人を超えています。レッドオーシャンの中で消耗戦を続けていたビデオレンタル店の多くが消滅した一方で、ネットフリックスは完全に新しい市場を創造したのです。
実践例その2:シルク・ドゥ・ソレイユのエンターテインメント革新
サーカス業界は、1980年代までに衰退していました。象やライオンなどの動物、危険な曲芸が主流でしたが、動物愛護の観点から批判が高まっていたのです。業界全体が苦しんでいました。
シルク・ドゥ・ソレイユは、動物を排除し、代わりに高度なアーティスティックな表現と音楽、美しいセット装置に注力しました。ターゲットも従来の家族連れから、成人客層にシフトさせたのです。チケット価格も通常のサーカスの3倍から4倍に設定しました。
つまり、「安くて楽しい」というサーカスの価値観を完全に覆し、「高級で芸術的」というブランドイメージを確立したのです。現在、シルク・ドゥ・ソレイユは年間営業収益で約1,000億円を超える規模に成長しており、40以上の国で公演を行っています。
実践例その3:IKEAの家具販売モデル転換
家具業界でも、IKEAはブルーオーシャン戦略を実践しました。従来の家具店は、職人による高級品や、デパートの家具売り場で高額な商品を扱うのが常識でした。
IKEAが注目したのは、若年層や低所得層が家具を購入する際の障壁です。「高い」「デザインが限定的」「配送が面倒」という課題を全て解決しました。セルフサービス方式の導入、シンプルで機能的なデザイン、分解・組立型による低コスト化を実現したのです。
さらに、カフェやキッズプレイエリアなど、買い物体験そのものを充実させました。家具販売という既存サービスの枠を超えた「ライフスタイル提案」へシフトさせたわけです。IKEAの2023年の売上高は約460億ユーロであり、世界で最も利益率の高い家具企業の一つとなっています。
自社に応用するための3つのステップ
ブルーオーシャン戦略を実践する際には、段階的なアプローチが効果的です。
まず第一段階として「業界の常識を書き出す」ことから始めます。あなたの業界では、どの企業も当たり前だと思っていることは何か。なぜそうしているのか、その理由を深掘りしてください。
第二段階は「除去・縮小・拡大・創造」の4つの軸で検討することです。除去とは、業界標準とされている機能や価格帯を廃止すること。縮小とは、その機能を最小限にすること。拡大とは、顧客が本当に価値を感じる要素を強化すること。創造とは、従来にない全く新しい価値を加えることです。
第三段階では「ターゲット顧客の再定義」を行います。既存顧客ではなく、これまで業界が見向きもしなかった層にアプローチできるかを考えます。異業界から顧客を奪う発想も有効です。
ブルーオーシャン戦略の注意点
ただし、新市場開拓には時間と資金が必要です。初期段階では赤字を覚悟する必要があります。また、市場が立ち上がらない可能性もあります。十分なマーケットリサー
