経営戦略講座【初級編】第3回:SWOT分析の基礎
サマリ
SWOT分析は、企業の経営戦略を立案する際の基本的な分析手法です。強み・弱み・機会・脅威の4つの要素を整理することで、現在地を正確に把握できます。この分析を通じて、より実現性の高い経営戦略を作成することができます。
詳細
SWOT分析とは何か
SWOT分析は、経営戦略の立案に使う分析ツールです。企業の内部環境と外部環境を、4つのカテゴリに分類して整理します。
SWOT は以下の4つの英単語の頭文字から成り立っています。
「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」です。
この4つの要素を分析することで、企業がどのような立場にあるのか、どのような戦略を取るべきかが見えてきます。
実は、SWOT分析はアメリカのビジネススクールで1960年代に開発されました。それから60年以上経った現在でも、世界中の企業で使われている、非常に実用的な手法なのです。
4つの要素を詳しく解説
まず「強み」について説明します。これは企業が持つ競争優位性のことです。自社の製品やサービスが優れている点、スタッフのスキルが高い、ブランド力がある、といった内的な優位性を指します。
次に「弱み」です。これは逆に企業の競争上の劣位性を指します。技術力が低い、知名度がない、資金が限られているなど、改善が必要な点を整理します。
「機会」は外部環境から生まれるプラスの要因です。市場が拡大している、新しい法律が施行される、消費者のニーズが変わるといった、企業を取り巻く環境の変化のうち、ビジネスチャンスになりうるものを指します。
最後の「脅威」は、外部環境から生まれるマイナスの要因です。競合企業の参入、技術の陳腐化、規制の強化など、企業の経営に悪影響を与える可能性のある要因を指します。
内部環境と外部環境の違い
SWOT分析を正しく実行するために、内部環境と外部環境の違いを理解することが大切です。
内部環境とは、企業が直接コントロール可能な要素です。強みと弱みがこれに該当します。経営戦略、人事体制、技術力、財務状況など、企業の努力で改善できる点ばかりです。
一方、外部環境とは、企業がコントロール不可能な要素です。機会と脅威がこれに該当します。市場動向、政治経済の変化、技術革新、競合企業の動きなど、企業がどうあがいても避けられない要因を指します。
この区別をしっかり認識することで、より現実的な戦略立案が可能になります。
実践的な活用方法
SWOT分析を経営戦略に活かすには、単に4つの要素を羅列するだけでは不十分です。その先の活用が重要です。
例えば、強みと機会を組み合わせることで、「今すぐに取り組むべき戦略」が見えてきます。自社の強みが活かせるような市場機会があれば、そこに資源を集中投下すべきです。
一方、弱みと脅威の組み合わせは、避けるべき戦略を示唆します。自社が弱い分野で、かつ競争が激しい領域には、無理に進出すべきではないということです。
また、強みで脅威に対抗する、弱みを改善して機会を活かす、といった戦略立案もできます。このように4つの要素の組み合わせを考えることで、より戦略的な意思決定ができるようになります。
実例で学ぶ
具体例を挙げます。ある食品メーカーの場合を想定してみましょう。
強みは「製造技術が高い」「ブランド認知度が60%」などが考えられます。弱みは「営業体制が弱い」「新商品開発の速度が遅い」といったところでしょうか。
機会は「健康志向の消費者が増加している」「オンライン販売チャネルが拡大中」など。脅威は「大手企業の参入」「原材料費の高騰」といったことが考えられます。
この分析から導き出される戦略は、「高い製造技術を活かして、健康志向の新商品をオンライン販売する」というものになるでしょう。これは強みと機会を組み合わせた戦略です。
SWOT分析を行う際の注意点
SWOT分析を実施する際には、いくつかの注意点があります。
まず「客観性が重要」ということです。自社に都合よく解釈してしまうと、分析の価値が失われます。できれば複数の視点から検討し、データに基づいた判断をしましょう。
次に「定期的な更新が必要」です。市場環境は常に変動しています。1年前の分析が今も通用するとは限りません。少なくとも年1回は見直すことをお勧めします。
そして「実行まで責任を持つ」ことです。SWOT分析は手段に過ぎません。分析後の実装が成功に直結します。
まとめ
SWOT分析は、経営戦略立案の第一歩となる、シンプルで強力なツールです。正しく実施すれば、企業の現在地を正確に把握でき、より現実的で実行性の高い戦略が導き出されます。
