【ハルキゲニ男の未攻略ゲーム愛】2026年09月13日の気になる1本
今日の1本
…ハルキゲニ男です。気になるゲームを紹介します。今日紹介するのは、『クトゥルフ神話TRPG』(新版・7版)だ。ジャンルはホラー・ミステリー系のテーブルトークRPG。北米の出版社Chaosium(ケイオシアム)が原著を2014年に出版し、日本語版は2019年12月20日にKADOKAWAより発売されている。日本ではさらに以前、1980〜1990年代にホビージャパンから『クトゥルフの呼び声』として流通していた長い歴史を持つシステムでもある。今なお現役で卓が立ち続けている、息の長い作品だ。
どんなゲーム?
ベースになっているのは、20世紀前半のアメリカの作家ハワード・フィリップス・ラヴクラフトが生み出したホラー小説群、いわゆる「クトゥルフ神話」だ。その世界観を舞台に、プレイヤーたちが「探索者」となって謎を追い、未知の恐怖と対峙する。ゲーム機やコントローラーは要らない。紙と鉛筆とダイス(サイコロ)、そして参加者の言葉と想像力だけで物語が動いていく。
このゲームを象徴するのが「SAN値(正気度)」というパラメータだ。探索者たちは人外の怪物や禁忌の真実と向き合うたびに正気を削られていく。正気度チェックに失敗すれば、キャラクターは狂気に陥る。生き残ることよりも、どう恐怖に立ち向かうかが問われるシステムだと言っていい。7版では旧来の6版から大幅にルールが刷新されており、キャラクターの背景設定を細かく記述できる「バックストーリー」システムや、状況に応じたボーナス・ペナルティを与えるダイスルールが追加された。ロールプレイの深みが増している。
ゲニ男が気になる理由
このゲームが面白いのは、「勝利」の定義がはっきりしないところだ。モンスターを倒せば終わり、ではない。プレイキャラクターの死亡率は高く、生還したとしても精神は摩耗している。それでもなお、卓を囲んだ人間たちが言葉を交わし、想像力を重ねて物語を作っていく。そこにしかない体験がある。
ラヴクラフトの原典にある「人間の知性を超えた存在への絶望的な恐怖」、つまり「宇宙的恐怖(コズミック・ホラー)」という概念を、ゲームとしてこれほど正直に再現しているシステムは少ないんだ。探索者は強くなるために冒険するのではない。知ってはいけない真実に近づきながら、それでも足を踏み出す理由が問われる。そういう構造が好きだ。
また、2025年以降もコミュニティが極めて活発で、同人シナリオがBOOTHやゲームマーケットを通じて数多く発表され続けている。遊び手が作り手にもなれるTRPGというジャンルの強みが、このタイトルでは特に色濃く出ている。
こんな人にやってほしい
ホラー映画や怪奇小説が好きな人。推理や謎解きに時間をかけることが苦にならない人。あるいは、テレビゲームのRPGには慣れてきたけれど、もっと「人と作る物語」に踏み込んでみたい人。そういう人に届けたいと思う。
最初のハードルは確かに高く見える。ルールブックは432ページある。仲間を集める必要もある。でも、クイックスタートルールという無料の入門版も公開されているし、オンラインセッションのツールも整っている。始めるための環境は、以前より格段に整っているんだ。一度、卓を囲んでみることを勧める。正気は少し削られるかもしれないが、それ込みで体験する価値がある。やってみる価値はある。…以上。
