今からでも間に合う!サクッと脳科学講座(初心者編)第14回:音楽が脳に与える影響
はじめに
さあ、第14回の講座の内容にまいりましょう。今回のテーマは「音楽が脳に与える影響」でございます。音楽を聴くと気分が上がったり、懐かしい記憶がよみがえったりした経験は、誰しも持っているはず。実はその裏側では、脳がとても面白い動きをしているのです。なぜ音楽はこれほどまでに人の心を動かすのか、その秘密をわかりやすくひもといてまいりましょう。
サマリ
音楽を聴くと、脳の広い範囲が一度に活発になります。感情・記憶・体の動きをつかさどる部分がまとめて刺激されるため、気分が変わったり昔の記憶がよみがえったりします。音楽には脳をリラックスさせたり集中力を高めたりする働きもあり、日常生活や健康にも役立てることができます。
詳細
音楽を聴くと、脳のあちこちが同時に動く
音楽を聴くとき、脳は一か所だけで処理しているわけではありません。音を聞き取る場所、感情を感じる場所、体を動かす場所など、いろんな部分が一斉に働きます。たとえば映画を観るとき、映像・音・セリフが同時に流れてくるイメージに近いです。音楽はそれだけ「全脳的な体験」と言ってよいでしょう。だからこそ、音楽は私たちに強い印象を与えるのです。
「気持ちいい!」と感じるのはなぜ?
好きな曲を聴いたとき、思わず「あ、いいな」と感じることがありますよね。これは脳の中で「ドーパミン」という物質が出るためです。ドーパミンは、おいしいものを食べたときや好きな人と会ったときにも出る、いわば「幸せホルモン」。音楽にはそれを引き出す力があります。特に曲の「盛り上がる瞬間」や「好きなサビ」に差し掛かったとき、脳がじわっと反応するのです。
音楽で昔の記憶がよみがえるのはなぜ?
学生時代に流行った曲を聴いて、急にあの頃の景色が浮かんできた経験はありませんか。これは、音楽と記憶がとても深く結びついているからです。脳の中に「海馬」という記憶に関わる部分があります。音楽を聴くとここが刺激されて、当時の感情ごと記憶が引き出されます。「曲は記憶のタイムカプセル」とも言えますね。この仕組みは認知症の方の記憶を引き出す取り組みにも活用されています。
音楽にはリラックス効果がある
ゆったりとしたテンポの音楽を聴くと、なんとなく落ち着く感じがしますよね。これは偶然ではありません。脳がリラックスしているときに出る「アルファ波」という脳の波が増えることが確かめられています。心臓の拍動がゆっくりになり、呼吸も整ってきます。逆に、テンポの速い音楽は気分を高め、集中力や運動のパフォーマンスを上げる効果もあります。BGMを選ぶだけで、脳の状態をある程度コントロールできるのです。
音楽は「脳のトレーニング」にもなる
楽器を演奏すると、脳にとって特別な刺激になります。目で楽譜を読み、耳で音を確かめ、指を動かす。これらをすべて同時にこなすため、脳の広い範囲が一気にフル活動します。特に子どもの頃から楽器を習うと、言語能力や集中力が伸びやすいという研究結果もあります。演奏が難しくても、音楽を「聴く」だけでも脳への良い刺激になります。毎日の音楽タイムは、脳の健康にとってもうれしい習慣です。
おわりに
今回は、音楽と脳の深いつながりについてお伝えいたしました。音楽が単なる「娯楽」ではなく、脳全体を動かし、感情や記憶、健康にまで影響を与えるものだとおわかりいただけたことでしょう。好きな曲を聴くことが、これほど豊かな脳の体験であるとは、改めて驚きではないでしょうか。さて次回は「視覚と脳のしくみ」を取り上げます。目から入った情報が脳でどう処理されるかを、わかりやすくひもといてまいります。どうぞお楽しみに。次回のテーマは脳と五感のつながり。
