2026年05月23日の国内・世界経済ニュースまとめ
サマリ
日本経済は1-3月期にプラス成長を記録しましたが、中東情勢の悪化によるエネルギー価格上昇が物価と景気の重荷に。日経平均は6万3000円台で推移する一方、訪日観光客は減少に転じています。世界経済も中東からの供給制約で減速する見込みで、特にインフレ圧力と成長の鈍化が共存する「スタグフレーション」懸念が高まっています。
詳細
日本経済の現状
2026年1-3月期の実質GDP成長率は前期比年率で2.1%と、2四半期連続のプラス成長を達成しました。個人消費や設備投資が堅調で、輸出も高い伸びを示すなど、イラン情勢悪化前の日本経済は緩やかな回復基調を保っていました。しかし先行きの見通しは暗雲立ち込める状況です。2026年度の実質GDP成長率見通しが0.5%(前月3月時点の0.8%から下方修正)へ引き下げられました。
物価面では、コアインフレ率が上昇圧力を強めています。2026年度の消費者物価指数(生鮮食品除く)が2.5%に上方修正されるなど、中東情勢に伴う資源価格の高止まりやナフサ高による包装資材・物流費の上昇が波及しています。日銀は4月の金融政策決定会合で政策金利を0.75%(1995年以来約30年ぶりの高水準)に据え置きつつ、インフレ予測を引き上げるなど、金利引き上げの環境整備を進めています。
訪日客数は4月に5.5%減と、3ヶ月ぶりにマイナスに転じました。中東・中国・欧州からの客数が苦戦しており、中東発着便の欠航が影響しています。また、ガソリン価格は169円20銭で、政府補助金による抑制が続く状態です。
世界経済の動向
世界経済は中東情勢の不安定化を受けて減速の兆しを見せています。三菱総合研究所の見通しでは、世界経済は供給制約に起因するサプライチェーン混乱により減速するとみられており、特に長期化シナリオではスタグフレーション(物価上昇と景気悪化の併存)の傾向が強まる可能性があります。
ユーロ圏経済は緩やかに持ち直していますが、中東依存のエネルギー価格上昇が経済活動を下押しする見込みです。実質GDP成長率は2026年前年比で0.8%と、前回2月時点の1.2%から下方修正されています。インド経済は高成長を維持していますが、中東情勢による成長減速が見込まれており、2026年度成長率は前年比6.2%と予測されています。
アメリカ経済は1-3月期実質GDP成長率が前期比年率2.0%と堅調でしたが、4-6月期は減速予想。イラン戦争に伴うガソリン価格上昇が個人消費の足かせになるとみられています。失業率は4.3%で底堅いものの、消費者心理は悪化傾向。4月の雇用統計で非農業部門雇用者数が17万8000人増と市場予想を大幅に上回るなど、労働市場は全体的に抵抗力を保っています。
金融市場と政策
日経平均株価は5月20日時点で5万9804円と、3週間ぶりに6万円割れする場面もあり、金利上昇でリスク回避姿勢が強まっています。円相場は159円前後で、為替介入が市場で「理解された」とも評価されつつも、不透明な地政学情勢の中で変動が続いています。
日銀は中東情勢の不確実性を警戒しており、イラン情勢の長期化に備えた物価上振れ対応の準備を進めています。金融システムのセキュリティ面では、新型AI「ミュトス」への対応で、官民連携会議が能動停止含めた対策を検討。G7財務相会議では、中東紛争の影響下で「成長とインフレに高リスク」との認識が共有されました。
今後の展望
2026年の世界経済は、中東情勢の行方が大きな分岐点になります。早期に紛争が鎮静化すれば、ホルムズ海峡の輸送が26年末にかけて段階的に回復し、原油価格も徐々に低下する見通しです。しかし長期化シナリオでは、原油価格が高止まりしてスタグフレーション圧力が強まる懸念があります。
日本は特にエネルギー輸入依存度が高く、資源価格の動向が重要です。物価と成長の両面での下振れリスクを抱えながらも、日銀の段階的な利上げと政府の財政対応(電気・ガス代補助など)による下支え効果が期待されています。企業業績は食料品を中心とした価格転嫁の動きが見られ、当面は企業収益の抵抗力が保たれる可能性があります。ただし、設備投資とDX推進により産業構造の転換を進めることが、中期的な競争力確保の鍵となるでしょう。
米国経済は堅調さを維持するとみられていますが、次期FRB議長人事(パウエル議長は5月で任期満了)が金融政策の方向性を決定する重要な変数になります。2026年末の政策金利が3.00-3.25%程度まで引き下げられるとの市場予想があり、利下げが進めば米国株にとって追い風になるでしょう。
