はじめに

さあ、第19回の講座の内容にまいりましょう。デザインシンキングの道を歩んでこられた皆さん、ここまでの積み重ねはきっと確かな力になっているはずです。けれど、深く学ぶほどに「あの取り組みは本当にうまくいっていたのだろうか」と、ふと立ち止まることもあるでしょう。今回はそのような振り返りの機会として、中級者が陥りやすい失敗のパターンと、その乗り越え方をご一緒に見てまいります。失敗は恥ではございません。それこそが、次のステージへの扉を開く鍵なのですから。

サマリ

デザインシンキングを実践する中で、共感不足・発散と収束の混同・プロトタイプの形骸化など、典型的な失敗パターンが存在します。それぞれの原因を理解し、適切な対処法を知ることで、プロセスの質が大きく向上します。今回は現場でよく見られる5つの失敗と、その具体的な打開策をていねいに解説します。

詳細

失敗① 共感フェーズの「表面なぞり」

インタビューを実施したにもかかわらず、得られた情報が「利便性を求めている」「時間を節約したい」といった抽象的なものにとどまるケースがあります。これは共感フェーズを「情報収集の儀式」として捉えてしまっていることが原因です。

デザインシンキングにおける共感とは、相手の行動・感情・文脈を深く理解することを指します。「なぜそうするのか」「そのときどう感じたか」を繰り返し問う「なぜの深掘り(ラダリング)」を意識的に取り入れてみましょう。インタビューガイドに頼りすぎず、相手の言葉に素直に反応する柔軟さも大切です。

失敗② 発散と収束のフェーズを混同してしまう

アイデア出しの場で「それは現実的ではない」「コストがかかりすぎる」という声が上がり、発散が途中で止まってしまうことがあります。これは発散フェーズに収束の思考が混入している状態です。

ブレインストーミングのルールを改めてチームで共有することが有効です。「判断を保留する」「量を優先する」「他者のアイデアに乗っかる」という3原則を、ファシリテーターが場のはじめに明示するだけで、発散の質は大きく変わります。発散と収束は別のセッションとして明確に分けることを習慣にしましょう。

失敗③ プロトタイプが「完成品」を目指してしまう

プロトタイプの制作に時間をかけすぎて、肝心のテストが後回しになるケースは珍しくありません。「もう少し精度を上げてから見せたい」という心理が、プロトタイプの本来の目的を損なっています。

プロトタイプは「仮説を検証するための道具」であり、粗削りであることに価値があります。付箋・紙・ホワイトボードで作った荒削りなモックアップほど、ユーザーが遠慮なく意見を言ってくれるものです。「最短で作って最速で壊す」というマインドセットを、チーム全体に浸透させることが重要です。

失敗④ 「いいね」しか集まらないテスト

ユーザーテストを実施しても、参加者が遠慮して肯定的な反応しか返ってこないことがあります。これは質問の設計とテスト環境に問題があるケースがほとんどです。

「このアイデアをどう思いますか」という問いは、評価を求めているように聞こえ、批判を抑制します。代わりに「このプロセスで一番困ったところはどこですか」「もし使わないとしたら、どんな理由が考えられますか」といったネガティブな仮定を促す質問を意識的に取り入れましょう。批判的フィードバックこそが、改善の源泉です。

失敗⑤ プロセスを「こなす」ことが目的になる

デザインシンキングのプロセスを一通り実行したにもかかわらず、成果物が薄くなってしまう——その原因の一つは、プロセスの遂行自体がゴールになっていることです。ペルソナを作り、カスタマージャーニーマップを描き、アイデアを出した、という「実施の記録」に終始してしまうのです。

各フェーズの終わりに「このフェーズで何が明らかになったか」を言語化する習慣を設けましょう。学びのレビューをフェーズごとに組み込むことで、プロセスが「目的達成のための手段」として機能し始めます。デザインシンキングは型ではなく、思考の姿勢です。その本質を常に手元に置いておくことが、中級者として次のステップに進む鍵となります。

おわりに

失敗のパターンを知ることは、より深く本質を理解することと同義でございます。今回ご紹介した5つの落とし穴、どれかひとつでも「ああ、心当たりがある」と感じていただけたなら、それはもう改善の第一歩を踏み出したも同然です。完璧なプロセスを目指すよりも、気づき続けることのできる実践者であることを、どうか大切になさってください。次回はいよいよ中級者編の総まとめとなります。これまでの学びを整理し、皆さんの実践力をさらに確かなものへと結晶させてまいりましょう。どうぞお楽しみに。

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oyashumi
5億年前から来た全知全能の絶対神。 アノマロカリ子とハルキゲニ男を従え、 現代のあらゆる知識を手に入れようとしている。 生成AIは神に仇なす敵だと思っているが その情報に踊らされていたりもする。 カリ子とゲニ男からの信頼は篤い。