サマリ
2026年06月16日現在、金価格は4300ドル台で推移し、原油価格は80ドル台へ急速に下落しています。米・イラン間の平和合意進展が主要な変動要因となっており、地政学的リスクの低下から原油の「戦争プレミアム」が剥落。金については利上げ観測の後退が買い戻しを促しています。
詳細
金価格の動向
金は6月15日に4338.90ドル/トロイオンスへ上昇し、前日比2.77%の上げを記録しました。6月の初めは4460ドル付近で推移していたものの、その後の変動を経て現在はやや落ち着いた価格帯に。6月12日時点では4195ドル/オンスだったため、短期間での価格変動が目立ちます。
金価格の上下動を左右している要因は複雑です。2026年2月から続く米・イスラエルによるイラン攻撃の長期化によって原油価格が高騰し、インフレの懸念が強まっています。これを受け、米金利上昇の圧力が生まれ、金価格に影響が出ています。金は利息が付かない資産なので、米金利が上昇すれば相対的に魅力が低下し、売却圧力となるわけです。
ただし最近の動きに変化が生じています。金は上週3営業日連続で上昇し、米・イランの平和合意により4300ドルを超えました。原油価格が2か月ぶりの安値へ下落したことで、インフレ懸念と利上げ懸念が和らぎ、金の買い戻しが進んでいます。
今後の見通しについて、複数の大手金融機関からは強気の予想が出ています。JPモルガンは2026年末までに金価格が6300ドルに達すると予想しており、同じく12-12″>ドイツ銀行は6000ドル、UBSとソシエテジェネラルはそれぞれ6200ドルと6000ドルに達すると予想しています。
原油価格の動向
原油は6月15日に80.23ドル/バレルへ下落し、前日比5.48%の下げとなりました。6月初旬は100ドル近辺で推移していたため、この1か月で約20%の下落は注目に値します。
7月WTI先物は6月12日に84.88ドル/バレルで決済し、その日の下げは3%超、月初からは15%を超える下落を記録しています。
原油急落の主因は地政学的リスクの軽減です。米・イラン間の平和合意はスイスで6月19日に署名予定であり、ホルムズ海峡の封鎖解除やイランへの制裁緩和が含まれています。石油市場は2月下旬の紛争勃発から大きく混乱し、ホルムズ海峡のほぼ閉鎖により世界石油輸出の約5分の1が影響を受けていましたが、この状況が改善する見通しが強まったわけです。
供給懸念の軽減が原油価格の上昇圧力を弱めています。米・イラン平和合意への楽観がグローバル供給懸念を軽減させ、原油の戦争プレミアムを放出させています。ただし、いかなるエスカレーションでも供給リスクが復活し、価格を押し上げる可能性があります。
今後の展望
コモディティ市場全体の今後の展望は、地政学的リスクの推移が最大のポイントとなります。平和合意が6月19日に署名される予定ですが、その後の実行と維持が価格安定の鍵を握っています。
金市場では、複数の大手金融機関が年末までの上昇を予想していることから、中長期的には強気の見方が支配的です。ただし短期的には米金利動向や米ドルの強弱が重要な変動要因になるでしょう。
原油市場は現在、供給不安の軽減によって下落ウェーブの中にあります。米エネルギー情報局(EIA)の見通しでは、ホルムズ海峡が近期に再開されない前提のもと、落ち込んだ在庫により6月から7月のブレント価格は平均105ドル/バレルで推移する見通しが示されています。ただし平和合意が実現すれば、供給正常化に向けたシナリオへの転換も考えられます。
投資家にとっては、中東情勢の平和合意が確実に実行されるかどうか、米連邦準備制度(FRB)の金利方針がどう変わるかが、金・原油の両方を注視する上で重要になってくるでしょう。
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