サマリー

日本経済は底堅さを維持しており、2026年度の成長率見通しが相次いで上方修正されています。世界経済はAI投資の拡大が支える一方で、中東情勢やイラン関連の地政学的リスクが懸念材料となっています。金融政策では日本銀行の追加利上げが注目されるなか、為替相場の動向が市場に大きな影響を与えています。

詳細

国内経済

日本経済は堅調な基調を保っています。複数のエコノミスト機関が2026年度の実質GDP成長率見通しを上方修正しており、前回予測比で0.3~0.4ポイント上昇させています。成長率見通しは0.8~0.9%程度となる見込みです。

景気を支える要因は複数あります。第一に、原油・石油製品の代替調達により、中東危機の悪影響が緩和されています。第二に、グローバルなAI関連需要の拡大が内外需要を押し上げています。第三に、設備投資がAI関連の投資需要と政府の成長戦略に支えられ、拡大基調で推移するとみられています。

一方、課題もあります。資源・エネルギー価格の高さが国内物価に波及する可能性があり、26年度半ばには実質GDP成長率が0%台半ばへ鈍化する見込みです。企業業績は堅調であり、賃上げ姿勢も維持されますが、個人消費は購買力の回復に伴い緩やかに持ち直すとみられています。

株式市場では、東京証券取引所に上場する新興企業の規模が拡大しています。2026年1~8月の上場時の時価総額は平均309億円と過去最高になりました。

政策面では、日本銀行が追加利上げを検討しています。コアCPI見通しは下方修正されているものの、物価リスクは上振れ寄りとされており、26年度に2回、27年度に1回の追加利上げが想定されています。政策金利は1.75%程度まで引き上げられる見通しです。また、政府は食料品に対する消費税を1%に引き下げる案を承認し、家計負担の軽減を図っています。

世界経済

世界経済はAI投資を支えに底堅さを維持しています。米国ではS&P500が月間3.67%上昇し、ヨーロッパではDAXが5.71%上昇するなど、先進国の株式市場は堅調です。

ただし、地政学的リスクが存在します。イラン情勢の悪化による資源高がユーロ圏に響いており、2026年のユーロ圏成長率は1%を下回るとみられています。ユーロ圏の中央銀行(ECB)は、インフレ圧力への警戒から26年9月と12月に各0.25%の利上げを行うと予想されています。

新興国ではインド経済が高成長を維持しており、実質GDP成長率は26年度が6.2%、27年度が6.5%と予測されています。ただし、中東危機の影響で減速気味です。東南アジアのIPO市場では、件数は減少したものの、資金調達規模が大幅に増加(前年同期比85%増)しており、投資家の資金流入が加速しています。

暗号資産市場でも変動が見られます。ビットコインETFへの資金流入が2026年4月以来の最高水準となり、先週は8億5000万ドルを超える資金が流入しました。

今後の展望

今後の経済展望は、複数の要因が交錯する見通しです。ポジティブな点として、AI投資の波が世界経済を支え続け、日本企業の輸出も底堅いと考えられます。27年度の成長率は26年度を上回る1.0~1.2%程度が見込まれており、緩やかな拡大基調が続くでしょう。

ただし、留意すべきリスクがあります。第一に、中東・イラン情勢の動向です。ホルムズ海峡の封鎖が長期化すれば、資源価格の一段の上昇やサプライチェーンの混乱を招き、景気後退や長期停滞のリスクが高まります。第二に、各国の金融政策です。日銀は段階的に緩和度合いを縮小し、ECBも利上げを進める見通しで、これらの政策転換が金融市場に影響を与える可能性があります。第三に、2027年の政治リスクです。フランス大統領選挙をはじめ複数の主要国で選挙が予定されており、その結果次第では政策の不透明感が高まる恐れがあります。

投資家にとっては、AI関連セクターへの注視が重要です。一方で、為替相場や金利動向、地政学リスクの変化をこまめに確認する必要があります。個人消費の持ち直しと企業業績の堅調さが、今後の経済を支える鍵となるでしょう。

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