サマリ

ドル円は159円台で揺らぎながら、日銀と政府による過去最大規模の為替介入が警戒される中、狭いレンジ内での推移が続いています。米インフレの再燃でドル買い圧力が続く一方、日銀6月の追加利上げ観測と介入警戒が上値を抑えています。ユーロドルは1.16ドル台で堅調を維持し、ユーロ円は185円前後で推移。今後の注目は日銀の金融政策判断と米物価指標です。

詳細

ドル円の現状と主要因

ドル円は159円前後での値動きが続いており、先月の介入(4月28日から5月27日にかけて11兆7349億円)の警戒感と、日銀の政策金利引き上げ期待が相場の上値を抑えています。しかし、米国の景気が底堅く、金利が高止まりしていることが円売り圧力を維持しています。

5月時点でドル円は157.50円から160.50円のレンジで推移すると見込まれており、160円突破への抵抗感が強い状況です。これは政府・日銀による介入警戒と、「160円を超えると日銀が利上げするかもしれない」との市場連想が作用しているためです。

米ドルの強さと物価圧力

米国では4月のインフレ率が3.8%に加速し、2023年5月以来の最高値を記録しました。イラン戦争に関連する原油高(ガソリンは28.4%上昇)が大きな要因です。このインフレ加速により、FRBの利下げ期待は弱まり、政策金利は3.5~3.75%で据え置かれています。

2026年内の追加利下げ観測は後退し、12月のFOMCで政策金利維持の確率が85%まで高まっています。米国の経済成長率(1~3月期の実質GDP前期比年率2.0%)も堅調で、これがドル買い圧力を支えています。

日銀の政策転換への期待

日銀は4月28日の会合で政策金利を0.75%に据え置きましたが、6月16~17日の会合での0.25%利上げ が市場で高い確率で織り込まれています。植田総裁は6月3日の講演で追加利上げに前向きな姿勢を示す可能性があり、これがドル円の158円前後への円高をもたらす可能性があります。

ユーロドルとユーロ円

ユーロドルは1.16ドル台で推移しており、ECB(欧州中央銀行)の6月利上げ観測が支援しています。市場では約85%のエコノミストが0.25%の利上げを予想しており、インフレ抑制姿勢が評価されています。ユーロ円は185円前後で、円安に加えてユーロ高が重なることで上昇圧力が続いています。

今後の展望

向こう数ヶ月の為替市場は、日米金利差の動向が主軸となります。日銀が6月に利上げを実施すれば157~158円への円高も想定されますが、米国の高い政策金利が維持される限り、ドル円の本格的な円高転換は難しい見方が支配的です。

中東情勢とそれに伴う原油価格の動向も引き続き重要です。原油が1バレル70ドル以上で推移すれば米インフレは高止まりし、FRBの利下げ期待は弱まります。一方、中東情勢が緩和すれば原油下落によるドル売り圧力が生じる可能性があります。

政府・日銀による為替介入のハードルも上昇し続けており、ドル円160円超えは政策当局の警戒を招きやすくなっています。ただし、これはあくまで「上値の抑止力」であり、金利差という構造的要因を変えるものではありません。基調としては日米金利差に支えられた円安バイアスが継続する可能性が高いと言えるでしょう。

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