今からでも間に合う!サクッと脳科学講座(初心者編)第18回:脳のクセと思い込み
はじめに
さあ、第18回の講座の内容にまいりましょう。あなたは今日も、あなた自身の「見たいもの」を見て、「信じたいこと」を信じながら生きていらっしゃいますか?それは決して悪いことではございません。でも実は、その”フィルター”こそが、あなたの脳に深く刻まれたクセなのです。今回は、脳が知らず知らずのうちに作り出す「思い込み」の仕組みを、一緒にのぞいてまいりましょう。
サマリ
私たちの脳は、情報を効率よく処理するために「思い込み」や「先入観」を自動的に使っています。これは脳のサボり癖のようなものですが、うまく理解すれば自分の判断ミスを減らすヒントになります。今回は日常に潜む脳のクセを、身近な例でわかりやすくご紹介します。
詳細
脳はじつは「省エネ魔」だった
私たちの脳は、毎日ものすごい量の情報を受け取っています。目で見るもの、耳で聞くもの、肌で感じるもの……それをすべてゼロから考えていたら、すぐにエネルギー切れになってしまいます。そこで脳は「よくある答え」をあらかじめ用意して、素早く判断しようとします。これが「思い込み」の正体です。脳にとっては、とても合理的な工夫なのです。
「確認バイアス」——見たいものしか見えない不思議
たとえば、「この人は信頼できない」と一度思ってしまうと、その後はその人の悪いところばかり目につくようになります。逆に「この商品はいい」と思い込むと、悪い口コミが目に入らなくなります。これを「確認バイアス」と呼びます。難しい名前ですが、要するに「自分の信念を裏付ける情報だけを集めてしまうクセ」です。脳が「楽をしたい」がゆえに起こる、よくある現象です。
「初頭効果」——第一印象がすべてを決める?
人は最初に得た情報に強く引きずられる性質があります。面接で最初に元気よく挨拶した人は、その後の印象全体がよく見られやすいのです。これを「初頭効果」といいます。逆に言えば、最初の情報さえ書き換えられれば、印象はガラリと変わります。脳は「最初に来た情報」を基準点にして、後の情報を処理しているのです。
「ハロー効果」——見た目がいいと何でもよく見える?
「あの人は顔がいいから、仕事もできそう」と感じたことはありませんか?これは「ハロー効果」と呼ばれる脳のクセです。ひとつの良い特徴が、他のすべての評価を引き上げてしまう現象です。ブランドもののバッグを持っていると「育ちが良さそう」に見えたり、声がいい人は「頭もよさそう」に感じたり……。脳は「全部を判断するのが面倒」なので、目立つ一点で全体を評価しようとするのです。
思い込みに気づくだけで、世界が変わる
大切なのは、こうした脳のクセを「なくそう」とすることではありません。それは残念ながら、ほぼ不可能です。でも、「あ、今わたし思い込んでいるかも」と気づけるだけで、判断の精度はぐっと上がります。「なぜそう感じたのか」を少し立ち止まって考える習慣が、脳のクセとうまく付き合う第一歩です。脳の仕組みを知ることは、自分をもっと自由にしてくれる鍵なのです。
おわりに
いかがでしたでしょうか。脳のクセというものは、あなたを困らせるために存在しているわけではございません。長い時間をかけて育まれた、生きるための知恵なのです。ただ、その存在に気づいていないと、思いがけず大切な判断を誤ってしまうこともあります。どうか自分の「思い込み」に、少し優しく問いかけてあげてくださいませ。次回の第19回は、「デジタルと脳への影響」をテーマにお届けいたします。スマートフォンやパソコンが、あなたの脳にどんな変化をもたらしているのか……どうぞお楽しみに。
