今からでも間に合う!サクッと脳科学講座(初心者編)第17回:加齢と脳の変化
はじめに
さあ、第17回の講座の内容にまいりましょう。年齢を重ねるにつれて「最近、物忘れが増えた」「名前がすぐ出てこない」と感じることが多くなってきた、そんなご経験はございませんか?でも、どうかご安心くださいませ。脳の変化は、決して怖いものではありません。変化の仕組みを知れば、上手に付き合うヒントが見えてまいります。今日もゆったりと、一緒に学んでまいりましょう。
サマリ
脳は年齢とともに少しずつ変化しますが、衰えるばかりではありません。記憶力や処理の速さは落ちても、経験から培った知恵や判断力は豊かになります。変化の仕組みを正しく知り、日々の生活に小さな工夫を取り入れることで、いくつになっても脳を元気に保つことができます。
詳細
脳はいつから変化し始めるの?
実は脳の変化は、20代後半からゆっくりと始まっています。「えっ、そんなに早く?」と驚かれるかもしれませんね。ただし、これは「衰え」というより「変化」と捉えていただくのが正確です。脳の重さはピーク時に比べて少しずつ軽くなっていきます。また、脳の細胞どうしをつなぐ「配線」の数も、少しずつ整理されていきます。ちょうど、使われなくなった道路が草に覆われていくようなイメージです。でも、よく使う道はしっかり残ります。つまり、日頃どれだけ脳を使うかが大切なのです。
「物忘れ」はなぜ増えるの?
加齢とともに最も気になるのが、物忘れではないでしょうか。脳の中には、記憶を作る「海馬」という部分があります。この海馬は、加齢とともに少し小さくなっていきます。海馬は「新しいことを覚える」役割を担っています。そのため、新しい人の名前や昨日食べたものが思い出しにくくなるのです。しかし、昔の思い出や長年の習慣はしっかり残ります。これは、記憶の保存場所が海馬とは別のところにあるからです。物忘れは「脳が働いていない」のではなく、「新しい情報の取り込みに少し時間がかかる」状態といえます。
遅くなるけど、なくなるわけじゃない
加齢で変わることのひとつに、「情報を処理するスピード」があります。若い頃は素早くできていた計算や判断が、少し時間がかかるようになります。これはちょうど、パソコンが古くなると動作が少し遅くなるようなイメージです。でも、ゆっくりでも答えは出せます。むしろ、年齢を重ねた脳には「じっくり考える力」が備わっています。経験から培った知識や直感は、若い頃よりも豊かになっているのです。速さよりも深さ、と言い換えることもできますね。
年をとると「得意になること」もある
脳科学の研究では、加齢とともに高まる能力があることがわかっています。その代表が「感情のコントロール」です。若い頃は感情的になりやすいことでも、年齢を重ねると落ち着いて対処できるようになります。また、人の気持ちを読む力や、長年の経験から物事の本質を見抜く力も高まるといわれています。さらに、語彙力、つまり言葉の豊かさも、60代まで伸び続けるという研究結果もあります。脳は全体的に衰えるのではなく、得意なことと苦手なことが変化していくのです。
脳を元気に保つために今日からできること
嬉しいことに、脳は何歳になっても新しい細胞のつながりを作ることができます。この力を「脳の柔軟性」と呼びます。その力を活かすために、日常の中でできることをご紹介します。まず、体を動かすことが大切です。ウォーキングなどの軽い運動は、脳への血流を増やします。次に、新しいことに挑戦することも効果的です。慣れないことをすると、脳に新しい道が生まれます。そして、人とおしゃべりすることも脳への良い刺激になります。特別なトレーニングより、楽しみながら続けることが一番の秘訣です。
おわりに
脳の変化を恐れる必要はございません。変化を知ることは、自分をより大切にするための第一歩でございます。年齢を重ねてこそ輝く知恵と深みが、あなたの脳にはちゃんと宿っているのですよ。さあ、明日からはどうか自分の脳を、少し優しい目で見てあげてくださいませ。次回の第18回は「脳のクセと思い込み」をテーマにお届けいたします。どうぞお楽しみに。
