今からでも間に合う!サクッと脳科学講座(初心者編)第11回:脳と五感のつながり
はじめに
さあ、第11回の講座の内容にまいりましょう。あなたは今日、目で文字を読み、耳で音を聞き、肌で温度を感じながらここにいらっしゃいますね。そのすべてを、たった1.3キログラムほどの脳が、まるで優秀な指揮者のように受け取り、整理し、意味へと変えているのですよ。五感というのは、世界とあなたをつなぐ、とても豊かな橋なのです。今回はその橋の仕組みを、一緒にのぞいてみましょう。
サマリ
私たちは視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚という五感を通じて世界を感じています。これらの情報はすべて脳へと届き、それぞれの専門エリアで処理されます。五感は単独で働くのではなく、脳の中で互いに影響し合い、豊かな「感じる体験」を生み出しているのです。
詳細
五感とは何か? 世界を感じる5つの窓
五感とは、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の5つのことです。私たちはこの5つの窓を通して、外の世界の情報を取り込んでいます。たとえば、バラを見て「赤い」と感じるのが視覚。風に乗って甘い香りを感じるのが嗅覚です。それぞれの感覚には、専用のセンサーが体に備わっています。目・耳・鼻・舌・皮膚がそのセンサーにあたります。センサーがキャッチした情報は、電気信号に変換されて、脳へと送られていきます。
脳のどこで感じているの? 感覚の専用エリアがある
脳には、感覚ごとに「担当エリア」があります。たとえば、目から入った情報は頭の後ろ側にある「視覚野」というエリアへ届きます。耳からの音は、頭の横あたりにある「聴覚野」へ。皮膚で感じた触感は「体性感覚野」というエリアが受け取ります。それぞれの担当がしっかり分かれているので、脳は混乱せずに処理できるのです。まるで、大きな会社の中に専門部署がたくさんあるようなイメージですね。
五感は助け合っている! 脳の中で起きる「合体」
実は、五感はバラバラに働いているわけではありません。脳の中で情報が合わさって、初めて豊かな「体験」になるのです。たとえば、カレーを食べるとき。目で色を見て、鼻で香りをかいで、舌で味を感じて、口の中の温度や食感も感じています。この情報がすべて脳で合わさることで、「カレーのおいしさ」として感じられるのです。鼻をつまんでカレーを食べると味が薄く感じられるのも、まさにこの仕組みのためです。
「見た目」で味が変わる? 五感が互いに影響し合う不思議
五感が脳で合わさることで、面白い現象も起きます。たとえば、白いワインに赤い色素を加えると、多くの人が「赤ワインの味がする」と答えるという実験があります。目の情報が、舌の情報に影響を与えてしまったのです。また、レストランの照明や音楽が変わると、同じ料理でもおいしさの感じ方が変わることがあります。これは「脳が五感の情報を総合して、最終的な判断を下している」からなのです。
感覚は「記憶」とも深くつながっている
五感で受け取った情報は、記憶とも深く結びついています。昔食べたおばあちゃんの料理の匂いをかいで、急に懐かしい気持ちになったことはありませんか? 嗅覚は特に、記憶や感情を呼び起こしやすい感覚だといわれています。それは、嗅覚の情報が記憶や感情に関わる脳の部分に直接つながっているからです。五感は、過去と現在をつなぐ不思議なタイムマシンのような役割も果たしているのですよ。
おわりに
いかがでしたか。五感というのは、ただ「感じるだけ」のものではなく、脳の中でたくさんの情報が混ざり合い、記憶とも響き合って、あなたという人の「体験」をつくり上げているのですね。日々の何気ない瞬間にも、脳はこれほど豊かな仕事をしているのです。どうぞ、今日から五感の一つひとつを少し丁寧に味わってみてくださいませ。次回の第12回は「言語と脳の関係」についてお話しいたします。言葉がどのように生まれ、脳の中でどう処理されているのか、どうぞお楽しみに。
