はじめに

さあ、第7回の講座の内容にまいりましょう。前回までの歩みを経て、皆さまの思考はずいぶんと柔らかく、しなやかになってきたことでしょう。今回取り上げる「HMW質問」は、問題を可能性へと変換するための、とても優雅な知的道具です。使いこなせるようになると、チームの対話がまるで変わってきますよ。どうぞ、ゆったりとした気持ちでお読みくださいませ。

サマリ

HMW(ハウ・マイト・ウィ)質問とは、課題を「どうすれば〜できるだろうか?」という形式に変換することで、チームの発想を広げるフレームワークです。問題の捉え方ひとつで、アイデアの質と量は大きく変わります。今回は、HMW質問の基本構造から実践的な活用ステップ、よくある落とし穴まで丁寧に解説します。

詳細

HMW質問とは何か――「問い」の力を再発見する

HMWとは、「ハウ・マイト・ウィ(どうすれば私たちは〜できるだろうか)」の略です。デザインシンキングのプロセスにおいて、共感フェーズで得た洞察をアイデア創出へとつなぐ、重要な橋渡し役を担います。

この問いの特徴は、三つの言葉に凝縮されています。「どうすれば」は可能性を開く言葉です。「私たちは」はチームの協働を促す言葉です。そして「〜できるだろうか」は断定を避け、探索の余地を残す言葉です。

たとえば「利用者がサービスに不満を持っている」という課題があるとします。これをそのままにしておくと、原因追及の議論に終始しがちです。しかしHMW質問に変換すると、「どうすれば利用者がサービスに喜びを感じられるだろうか?」となります。自然と前向きな発想が生まれやすくなるのです。

HMW質問の作り方――三つのスケールを意識する

良いHMW質問を作るには、「スコープ(範囲)」のバランスが大切です。問いが広すぎても狭すぎても、アイデア発想の場が機能しません。

実践では、以下の三段階を意識してみてください。

まず「広すぎる問い」です。「どうすれば世界中の人々が幸せになれるだろうか?」のような問いは、具体的なアイデアに落とし込みにくくなります。次に「狭すぎる問い」です。「どうすれば待合室の椅子を五センチ高くできるだろうか?」は、解決策がほぼ一つに限定されてしまいます。理想は「ちょうど良い問い」です。「どうすれば待っている間の時間を価値あるものにできるだろうか?」のように、複数の方向からアイデアが出せる粒度が最適です。

問いを書いたら、「この問いから十以上のアイデアが浮かぶか?」を確認する習慣をつけると、スコープの調整がしやすくなります。

インサイトからHMW質問へ――変換のプロセス

HMW質問はゼロから作るものではありません。共感フェーズで得たユーザーインサイトを素材にして生み出すものです。

変換の手順は、以下の流れで進めます。まず、インタビューや観察で得た気づきを一文にまとめます。次に、その文の中にある「ユーザーの欲求や困りごと」に着目します。そして、それを「どうすれば〜できるだろうか?」の形に書き換えます。

具体的に見てみましょう。インサイトが「会議の後、参加者が次のアクションを忘れてしまう」だったとします。これを変換すると、「どうすれば参加者が会議後のアクションを自然に覚えていられるだろうか?」となります。さらに「どうすれば会議そのものをアクションが生まれやすい場にできるだろうか?」と視点を広げることもできます。一つのインサイトから、複数のHMW質問を作ることが望ましいです。

チームでのHMW質問活用――ワークショップへの組み込み方

HMW質問は、個人よりもチームで活用するときに真価を発揮します。チームメンバーそれぞれがインサイトを持ち寄り、それぞれのHMW質問に変換してみてください。

付箋を使ったワークショップが効果的です。一枚の付箋に一つのHMW質問を書き、ボードに貼り出していきます。似たテーマのものをグルーピングすると、チームが共通して注目すべき問いの領域が見えてきます。

その後、チーム全員で「最も発想が広がりそうな問い」に投票します。この段階では正解を選ぶ必要はありません。「この問いは面白い」という直感を大切にしてください。選ばれた問いを次のアイデア発散フェーズに持ち込むことで、議論の質が格段に上がります。

よくある失敗と対処法――HMW質問を形骸化させないために

HMW質問を使い慣れてくると、陥りやすいパターンがあります。代表的なものを三つ挙げます。

一つ目は「解決策を問いに入れてしまう」ことです。「どうすればアプリを使って〜できるだろうか?」のように、手段を先に決めてしまうと発想が狭まります。問いにはなるべく手段を含めないようにしましょう。

二つ目は「ネガティブな表現を残してしまう」ことです。「どうすれば不満をなくせるだろうか?」より「どうすれば満足を生み出せるだろうか?」の方が、建設的なアイデアが生まれやすくなります。

三つ目は「一つの問いに絞りすぎる」ことです。アイデア発散の前に三から五つのHMW質問を用意しておくと、議論の幅が豊かになります。

おわりに

いかがでしたでしょうか。HMW質問は、シンプルなようでいて、使いこなすほどに奥深さを感じる道具です。問いの立て方ひとつで、チームの対話がこんなにも豊かになるものかと、きっと実感していただける瞬間が訪れることでしょう。次回はいよいよ「アイデア発散と収束の技術」へと進んでまいります。HMW質問で育てた問いを、さらに豊かなアイデアへと花

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oyashumi
5億年前から来た全知全能の絶対神。 アノマロカリ子とハルキゲニ男を従え、 現代のあらゆる知識を手に入れようとしている。 生成AIは神に仇なす敵だと思っているが その情報に踊らされていたりもする。 カリ子とゲニ男からの信頼は篤い。