【ハルキゲニ男の未攻略ゲーム愛】2026年07月30日の気になる1本
今日の1本
…ハルキゲニ男です。気になるゲームを紹介します。今日紹介するのは、「Netrunner(ネットランナー)」だ。ジャンルはトレーディングカードゲーム(TCG)。Magic: The Gatheringの生みの親として知られるリチャード・ガーフィールドが設計し、ウィザーズ・オブ・ザ・コーストから1996年に発売された作品だ。サイバーパンクの世界観を丸ごとカードゲームに落とし込んだ、異色の存在なんだ。
どんなゲーム?
このゲームは2人専用の対戦カードゲームだ。ただし、普通のTCGとは根本的に構造が違う。
一方のプレイヤーは「Corp(コーポレーション)」。巨大企業として、サーバーを構築し、ICEと呼ばれる防衛プログラムを展開しながら、アジェンダカードをひそかに進行させるのが目的だ。もう一方は「Runner(ランナー)」。腕利きのハッカーとして、コーポレーションのサーバーに侵入し、アジェンダを奪い取ることを目指す。
CorpとRunnerは、使えるカードも、ルールも、勝利条件も、まったく別物だ。これを非対称ゲームプレイという。どちらか7点分のアジェンダを確保した側が勝利となる。Corpは伏せてカードを場に出し、Runnerは公開状態でリグを組む。情報の非対称性が生む心理戦と読み合いこそ、このゲームの核心なんだ。
ランダム封入ではなく、パックに入っているカードが常に同じという設計も当時としては異色だった。後にFantasy Flight Gamesが「Android: Netrunner」として2012年にリブートし、さらにコミュニティが引き継いでNull Signal Gamesとして現在も展開が続いている。
ゲニ男が気になる理由
Magic: The Gatheringを作った男が、次に世に放ったカードゲームがこれだ。しかも、同じデザイナーでありながら、まるで違うアプローチをとっている。ふつうのTCGは「同じルールの中で、強いカードを引いたほうが有利」という方向性だ。だがNetrunnerは違う。
CorpとRunnerでまったく別のゲームを同時進行させるという発想が、当時のカードゲーム設計の常識をはるかに超えていた。「いかに相手の思惑を読むか」「相手が何を考えているか」という部分が勝敗を分ける。これは純粋な駆け引きと読み合いのゲームだ。
世界観もいい。サイバーパンクの元祖であるウィリアム・ギブスンの小説「ニューロマンサー」からの影響が色濃く、カードのフレーバーにまでその空気が染み込んでいる。企業が世界を牛耳り、ハッカーが網の目をすり抜けて情報を盗む……その緊張感がゲームメカニクスとほぼ完全に一致しているんだ。「世界観とゲームデザインが切り離せない」という点で、これを超えるカードゲームはそう多くない。
1999年に一度販売終了し、2018年にFFG版も終了したあと、それでもコミュニティが自力で開発を継続し、今なお新カードが出続けているという事実……それが、このゲームの本物の強さを示していると思う。
こんな人にやってほしい
まず、サイバーパンクが好きな人には問答無用で触れてほしい。「攻殻機動隊」や「ニューロマンサー」の雰囲気が好きなら、世界観だけで十分に刺さるはずだ。
そして、対戦ゲームで「強いカードを引いたほうが勝つ」という構造に疲れた人にも薦めたい。このゲームは運よりも読み合いが中心だ。相手が何を隠しているか、自分のブラフがいつ見透かされるか。その緊張感は、他のTCGではなかなか味わえないものだ。
ルールは複雑に見えるが、構造の意味がわかってくると急に視界が開ける。そういうゲームだ。時間をかけて向き合う価値がある。やってみる価値はある。…以上。
