2026年05月26日のM&A動向まとめ
サマリ
2026年5月のM&A市場は好況を維持しています。2025年の日本企業が関与するM&A件数は過去最高の5,115件、取引金額も35.7兆円と過去最高を記録しました。現在はミドルサイズの中堅企業買収が主流で、クロスボーダーM&Aも戦略的な案件が増加中です。事業承継問題の深刻化に伴い、親族外承継やM&Aによる継承が急速に普及しています。
詳細
最新の買収案件トレンド
5月18日~22日の1週間だけでも、複数の注目案件が発表されました。工作機械メーカーの芝浦機械は米国の超精密工作機械メーカー・Moore Nanotechnology Systems, LLCを子会社化し、北米・欧州市場での販売拡大を狙っています。テンポスホールディングスは飲食店チェーン「マルシェ」を子会社化し、飲食事業の強化に動きました。
注目すべきは、案件規模が数千億円の大型買収から数億~数十億円規模のミドルサイズへシフトしていることです。地域シェアの拡大や技術獲得を目的とした、戦略的で実行性の高い案件が市場を支配しています。
事業承継トレンドの加速
事業承継はもはや企業の存続を左右する重要な経営課題です。中小企業の経営者の高齢化が進む中、後継者不在の企業が多く存在しており、M&Aによる第三者承継がその解決策として定着しています。
2025版中小企業白書によると、60代以上の経営者が過半数を占める状況が続いています。親族承継が難しくなる中で、経営理念を明文化し親族外の人材に継承する「令和型事業承継」が広がっています。政府も事業承継・M&A補助金(最大2,000万円)で支援しており、2026年3月末までの特例承継計画申請がタイムリミットとなっています。
クロスボーダーM&Aの新展開
日本企業による海外企業買収(IN-OUT型)は引き続き活発です。2025年の取引金額は18.2兆円と全体の51%を占め、海外展開を目的とした大型案件が市場を牽引しています。
特に注目は東南アジア市場です。シンガポールやベトナムへの投資が北米・欧州に次ぎ多くなっており、淺沼組がシンガポールのT3 Internationalを買収してASEAN地域でのリニューアル事業強化を進めるなど、成長市場への戦略的進出が進んでいます。
一方、対日買収(OUT-IN型)も件数・金額ともに増加しており、海外ファンド主導のMBOによる非上場化も増加傾向にあります。円安局面でも「将来への投資」として、質の高い案件厳選姿勢で積極的な買収が続いています。
M&A市場の今後の展望
2026年のM&A市場は「量から質への転換期」を迎えています。金利変動や買い手による選別が進む中で、企業には早期からの準備が不可欠です。
構造的には、人手不足の深刻化、経営者の高齢化、DX・GXへの対応が企業の存続を左右する要因となっており、M&Aはもはや経営選択肢ではなく必須戦略となりました。企業価値を毀損しないためには、黒字でも余力のある段階からの準備が重要です。
今後、スタートアップのEXIT戦略としてのM&A、デジタル関連企業の買収、業界再編に向けたM&Aが加速すると予想されます。特に調剤薬局、物流、建設などの業界では業界再編が進むでしょう。事業承継を含む中小企業M&Aも高水準を維持し、年間5,000件の大台到達も視野に入っています。
