2026年05月19日の為替・FX動向まとめ
サマリ
ドル円は158円台で推移し、地政学リスク継続とインフレ懸念から米金利が上昇基調。日銀は6月会合での追加利上げが確実視される一方、米国ではイラン情勢の長期化が原油価格を押し上げている。介入効果が減少する中、為替は高いボラティリティに見舞われている。
詳細
ドル円(USD/JPY)の動向
ドル円は158円台後半で推移しており、先週比で底堅い動きを見せています。5月6日には157円台を付けましたが、その後ドル買い圧力が強まり、足元では158円を上回る水準で取引されています。政府・日銀による円買い介入は5月4日に実施されたと観測されていますが、介入効果は2週間で半減するなど、持続性が限定的な状況が浮き彫りになっています。
米国の金融政策と利上げ観測
米国ではイラン情勢の緊迫化を背景に原油価格が上昇し、これに伴うインフレ圧力が強まっています。米10年債利回りは一時4.6%を超える水準を記録し、昨年5月以来約1年ぶりの高水準となりました。4月の米CPI(消費者物価指数)は前年同月比3.8%上昇し、予想の3.7%を上回りました。こうしたインフレ高止まり懸念から、市場は当初の利下げ期待を後退させ、むしろ年内の利上げ可能性すら織り込み始めています。FRB現指導部は政策金利を3.5~3.75%で据え置く方針ですが、5月中旬には議長交代が予定されており、金融政策の方向性に不確実性が生じています。
日銀の追加利上げ見通し
日銀は4月28~29日の会合で政策金利を0.75%に据え置きましたが、3名の委員が1.0%への引き上げを主張する反対票を投じました。これは3月会合の1名から急増した数値で、日銀内部の利上げ気運が高まったことを示唆しています。市場では6月16~17日の会合での0.25%の追加利上げをほぼ確実視しており、年内に1.25%まで到達する可能性も指摘されています。インフレ見通しも上方修正され、2026年度のコアインフレ予想は1.9%から2.8%に引き上げられました。日米金利差の縮小は円買い圧力につながる可能性が高く、ドル円の上昇を抑制する要因になるでしょう。
その他主要通貨ペアの動向
ユーロ円は184円前後で推移し、5月12日以降は緩やかな円高基調が続いています。ユーロドルの下落を受けた形での値動きで、米金利上昇がドル買い圧力となる一方、ユーロに対しては相対的に弱さが出ています。原油高の影響でユーロ圏でもインフレ圧力が高まり、ECBの利上げ観測も意識されていますが、足元では米ドルの強さが優位となっている状況です。
今後の展望
当面のドル円は155~160円のレンジで推移する可能性が高いと見られます。上値は米金利上昇とドル買いが支える一方、下値は日銀の追加利上げ期待と政府の介入警戒が支えるという構図です。ただし、介入効果の減速により、テクニカル的には上値が重くなりやすい環境が続く可能性があります。
最大のリスク要因はイラン情勢です。中東での緊張が緩和されれば、原油価格が急落し、インフレ再燃懸念が後退してドル全面安となる可能性があります。一方、情勢が長期化すれば、原油高による供給ショックが世界経済に悪影響を及ぼし、景気後退懸念からドルへの逃避需要が続くシナリオも想定されます。
日銀の利上げは来月が分岐点となります。追加利上げが実施されれば、日米金利差が縮小し、ドル円の下押し圧力が強まるでしょう。逆に実施されなければ、金利差が維持されてドル買いが継続する公算が大きいです。野村證券は2026年末のドル円見通しを152.5円に設定しており、中期的には円高方向への調整の可能性を示唆しています。投資家は中東情勢、日米金融政策、介入の動向を一体で注視する必要があります。
