デザインシンキング講座【中級編】第9回:ステークホルダーマップの作成と活用
サマリ
ステークホルダーマップは、プロジェクトに関わるすべての関係者を可視化し、影響力と関心度から整理するツールです。このマップを使うことで、誰にいつ、どのような情報を提供すべきかが明確になり、プロジェクトの成功確度が40%以上向上するという調査結果もあります。
詳細
ステークホルダーマップとは
ステークホルダーマップは、プロジェクトやサービス開発に関係するすべての人たちを「影響力」と「関心度」の2つの軸で分類するフレームワークです。
簡単に言えば、プロジェクトに関わる人が誰で、その人たちがどの程度の力を持っており、どれくらい関心を持っているかを整理する図表ですね。企業内での新規事業立ち上げから、地域コミュニティプロジェクトまで、あらゆる場面で活用できます。
デザインシンキングの初期段階では「ユーザーを理解する」ことに焦点が当たりますが、中級段階では「そのユーザーを取り巻く全体システムを理解する」ことが重要になります。その時に必須になるのがこのマップです。
2つの軸で関係者を整理する
ステークホルダーマップは、縦軸に「関心度」、横軸に「影響力」を設定して、4つのグループに分けます。
第1グループは「高影響力・高関心度」です。経営層や直接の利害関係者がここに入ります。このグループには定期的なコミュニケーションと最高レベルの管理が必要です。プロジェクト成功の鍵を握る人たちですから、彼らを満足させることを最優先にしなければなりません。
第2グループは「高影響力・低関心度」です。政策立案者や大口取引先などが該当します。彼らは力を持っていますが、今は関心が薄い。そのため「定期的な情報提供」で関心を保つ戦略が有効です。万が一敵に回ると大きなダメージを受けるため、無視してはいけません。
第3グループは「低影響力・高関心度」です。実務を担当する従業員や熱心なユーザーが当てはまります。彼らを味方につけることで、日々のプロジェクト推進がスムーズになります。積極的に情報を共有し、フィードバックを求めましょう。
第4グループは「低影響力・低関心度」です。関係は薄いものの、時間とともに変わる可能性があります。最小限の情報提供に留めておきますが、完全に無視するのは禁物です。
実際の作成手順
ステークホルダーマップを実際に作成する時は、5つのステップを踏みます。
まず「ステップ1:関係者のリストアップ」です。プロジェクトに関わるすべての人や組織を書き出します。経営者、従業員、顧客、仕入先、競合企業、規制機関、NGOなど、思いつく限り列挙することが大切です。この段階では100人以上が出てくることもあります。
次に「ステップ2:影響力の判定」です。各ステークホルダーが、プロジェクトの成功や失敗にどの程度の影響を与えるかを1~5の5段階で評価します。予算承認権を持つ人は高く、末端の従業員は低くなるでしょう。
「ステップ3:関心度の判定」も同じく5段階評価です。プロジェクトの結果にどのくらい関心を示すかを判定します。直接の利益を受ける人は高く、関係の薄い人は低くなります。
「ステップ4:プロット」では、集計した数値をグラフ上にマッピングします。縦軸と横軸が交差する中点を基準に、右上が「高影響力・高関心度」となるように配置します。
最後の「ステップ5:戦略の立案」で、各グループに対する対応方針を決めます。どの情報をいつ共有するか、コミュニケーション頻度をどうするか、などを具体的に計画します。
実務での活用例
ある食品メーカーが新しいヘルスケアアプリの開発を計画していました。関係者には、経営層、開発チーム、営業部門、既存顧客、新規ターゲット層、競合企業、業界団体などがいました。
マッピングの結果、経営層と大口顧客が「高影響力・高関心度」に位置したため、プロジェクトの進捗を月1回の定期報告で共有することにしました。一方、新規ターゲット層は「低影響力・高関心度」だったため、SNSでの定期発信で彼らの関心を維持することにしたのです。
この戦略により、プロジェクトの承認期間が当初計画の30%短縮され、ローンチ時点でのスムーズな市場導入が実現しました。
ステークホルダー管理で避けるべき落とし穴
初心者が陥りやすいのが「すべてのステークホルダーを同じレベルで管理しようとする」という誤りです。時間と資源は有限ですから、メリハリをつけた対応が必須です。
また、マップ作成後に「そのまま放置する」のもよくありません。プロジェクトが進むにつれて、人々の影響力や関心度は変化します。2~3ヶ月ごとに見直し、必要に応じて対応戦略を修正することが重要です。
さらに注意したいのが「配置の判定がメンバーの主観に左右される」ということです。複数人
