デザインシンキング講座【初級編】第13回:チームでのデザインシンキング実践
サマリ
デザインシンキングは個人で実践することもできますが、チームで取り組むことで真価を発揮します。この記事では、チームでデザインシンキングを効果的に進めるための具体的な方法や、陥りやすい落とし穴、そして実際の成功事例までをお伝えします。
詳細
なぜチームでのデザインシンキングが重要なのか
デザインシンキングは、単なる個人の問題解決スキルではありません。チームで実践することで、異なる視点や経験が交わり、より創造的で実行可能なソリューションが生まれるのです。
実は、複数の視点を持つチームが出す結論は、個人の結論よりも約35パーセント優れているというデータがあります。これは心理学の「集合知」という現象で、多様な背景を持つメンバーが対話することで、個々人では気づかない洞察が生まれるということです。
さらに、チームで進めることで、プロジェクトへのオーナーシップ意識が高まります。自分たちで考えて導き出したソリューションなら、実行段階での協力度合いも自然と高くなるのです。
効果的なチームの組成方法
デザインシンキングを成功させるには、メンバー構成が重要です。理想的なチームは、異なるバックグラウンドを持つ3〜8人程度の規模が目安です。
営業、企画、技術、デザイン、営業事務など、異なる部門から集めることをお勧めします。業種が同じメンバーばかりだと、無意識の共通認識の枠に閉じ込められてしまうからです。逆に、全く異なる経歴を持つ人が加わることで、固定概念を打ち破る視点が得られます。
また、年齢層や性別、経験年数にもバリエーションを持たせましょう。国内外の実例データによると、多様性スコアが高いチームほど、イノベーティブなアウトプットを出す傾向が見られています。実に約48パーセントの企業が、ダイバーシティの推進でイノベーション能力が向上したと報告しています。
チームでのワークショップ進行のポイント
では、実際にチームでデザインシンキングを進める際の進め方を説明します。
まず重要なのは、全員が心理的安全性を感じられる環境作りです。役職や経験年数に関係なく、誰もが自由に意見を言える雰囲気が必須です。ファシリテーター(進行役)は、参加者を評価せず、全ての発言を大切に扱う姿勢を示しましょう。
次に、共感フェーズでは、ペアやグループに分かれてユーザーへのインタビューを実施します。異なるメンバーと組むことで、インタビューの視点が自動的に多角的になります。得られた情報を付箋に書き出し、全体で共有することで、集団の認識を統一できます。
問題定義フェーズでは、集めた情報を分類・分析し、本当の課題は何かを探ります。チーム全体で投票する仕組みを導入することで、単なる多数決ではなく、説得力のある議論を通じた合意形成ができます。
アイデア出しのフェーズでは、「ブレインストーミング」を活用してください。一定時間、批判なしに自由奔放にアイデアを出す方法です。参加者数が多いほど、アイデアの質と量が向上する傾向があります。
チームで陥りやすい罠と対策
チームでデザインシンキングを進める際、いくつかの落とし穴があります。
一つ目は、「グループシンク」です。これは、チーム内での調和を保つために、異なる意見を言い出しにくくなる現象です。対策としては、意図的に反対意見を求めたり、少数派の意見を評価する時間を設けたりしましょう。
二つ目は、声の大きい人の意見が優先されることです。役職が高い人や、話し上手な人の意見がプロジェクトを支配してしまうと、多様性のメリットが失われます。全員に平等に発言機会を与えるため、ラウンドロビン(順番に意見を述べる方式)の導入をお勧めします。
三つ目は、タイムマネジメント不足です。チームでの議論は時間がかかります。事前に各フェーズの所要時間を決め、その枠内で進める規律が必要です。
実践例:実際の成功事例
製造業のある企業では、営業、設計、製造部門の8人でチームを組んでデザインシンキングに取り組みました。顧客の使い方を詳しく観察することで、既存製品の「非効率な梱包方法」という課題を発見。改善を加えた結果、顧客の準備時間が約40パーセント削減され、満足度も大幅に向上したそうです。
別の事例では、サービス業の企業が、お客様と直接接する部門と、企画部門を一緒にチーム化。顧客の本当の困りごとを共有することで、従来の企画との大きなズレを認識でき、顧客満足度が向上したと報告されています。
チームでのデザインシンキング開始のステップ
さあ、あなたの職場でもチームでのデザインシンキングを始めてみましょう。
まずは小さく始めることをお勧めします。5〜6人の気の置けないメンバーで、実際の課題に取り組んでみてください。完璧さを目指さず、試行錯誤を楽しむ姿勢が大切です
