サマリ

金価格は6月5日時点で1グラムあたり25,033円と、5月末の調整局面から持ち直しています。一方、原油相場は地政学的リスクの軽減を受けて下落が続いており、バレルあたり90ドル程度で推移。両コモディティ市場は異なる方向性を示し、市場の不確実性の高さを象徴しています。

詳細

金価格の動向

金価格は現在、歴史的な高値圏を維持しながらも変動性が高い局面にあります。6月5日の国内金買取相場は1グラムあたり25,033円で、前日比74円の上昇となっています。これは5月下旬の25,294円からの急落後の反発を示しています。

価格変動の背景には、複雑な国際情勢があります。5月末に米国とイラン間の停戦交渉の進展報道が出た際には、地政学的リスク緩和期待から金価格は急落しました。しかし、5月下旬に発表された米国の経済指標では、個人消費が鈍化しながらもインフレが3.8%続いている状況が明らかになり、これが「スタグフレーション」懸念を生み出しています。ドル軟調を受けた金への避難需要が集まり、価格は反発しました。

さらに、日本国内では円安が継続中です。財務省が過去最大規模となる11兆7,349億円の円買い為替介入を実施しても、1ドル=159円台の歴史的円安は変わりません。この円安環境は国内の金価格を大きく下支えしています。

長期的視点では、2026年3月に一時的に29,969円の高値を記録した後、調整局面が続いています。金価格の上昇を支える構造的要因としては、中央銀行による脱米ドル化に伴う金購入が継続していることが挙げられます。この需要基盤は2026年以降も堅固である見通しです。

原油価格の動向

WTI原油価格は6月5日時点でバレルあたり90ドル程度まで下落し、4営業日ぶりの下げとなっています。これは、イスラエルとレバノン間の停戦合意報道が影響しています。

直近の原油相場を動かしているのは、中東情勢の極めて複雑な状況です。6月初旬にはイランからのミサイル攻撃報道があり、米軍が迎撃するなど戦闘が再燃したことで原油は買い支えられていました。しかし、停戦合意の可能性が高まるにつれて、ホルムズ海峡の「事実上の閉鎖」リスクが後退し、供給懸念が和らぎました。

需給面では、米国のエネルギー情報局(EIA)発表の原油在庫が6週連続で減少中です。2026年5月29日時点で前週比797.4万バレルの減少、5月22日時点で332.7万バレルの減少と、在庫水準は右肩下がりが続いています。通常であればこの在庫減少は価格を支えるはずですが、地政学的リスク緩和期待が在庫要因を上回っている状況です。

大手金融機関の長期見通しによると、ゴールドマン・サックスは2026年のWTI平均価格を1バレル=52ドルと予測しており、現在の90ドル程度から大幅な下落を見込んでいます。米エネルギー情報局(EIA)の5月時点の短期見通しは、2026年ブレント原油を1バレル=95ドル、2027年を79ドルと予測しています。

今後の展望

コモディティ市場全体は、今後の中央銀行の金融政策と地政学的リスクに左右される見通しです。6月中旬には日銀とFRBが相次いで金融政策決定会合を開催する予定で、金融緩和の継続や終了を示唆する声明が重要なターニングポイントになります。

金価格については、短期的には変動が大きくなりやすい環境が続くと予想されます。ただし、中央銀行による継続的な金購入と、ドル安進行の可能性が長期的な支え材料となりそうです。実質金利(名目金利から期待インフレ率を差し引いたもの)の低下や地政学的リスクの高まりがあれば、金価格は早期に上昇局面に入る可能性があります。

原油相場は、中東情勢の安定化が進めば一段の下落圧力を受けそうです。一方で、供給制約が予想以上に深刻化したり、世界の景気が予想以上に減速したりすれば、価格が反転上昇する可能性もあります。エネルギーコストが経済全体に与える波及効果は極めて大きいため、各国の中央銀行の金融政策判断にも重大な影響を与え続けるでしょう。

金と原油は一般的に正の相関関係にある傾向がありますが、現在はこの関係が一時的に乖離している局面です。6月から7月にかけての金融政策決定と中東情勢の動向が、今後のコモディティ相場全体を方向づける重要な時期となります。

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