今からでも間に合う!サクッと脳科学講座(初心者編)第8回:やる気の正体
はじめに
さあ、第8回の講座の内容にまいりましょう。「やらなければいけないのに、どうしても気力がわかない」——そんな経験、あなたにもきっとございますわね。やる気とは不思議なもの。あるときは溢れるほどなのに、必要なときに限って姿を消してしまう。でも安心してくださいませ。やる気には、ちゃんと正体があるのです。今日はその秘密を、一緒にのぞいてみましょう。
サマリ
やる気の正体は、脳の中にある「ドーパミン」という物質の働きです。ドーパミンは「ご褒美への期待」で分泌され、行動を後押ししてくれます。やる気は「待つもの」ではなく「仕組みで引き出すもの」。脳のしくみを知れば、やる気をコントロールする第一歩が踏み出せます。
詳細
やる気は「感情」ではなく「脳の反応」だった
「やる気がない」と感じるとき、多くの人は自分の意志や性格のせいだと思いがちです。でも実は、やる気とは脳が自動的に生み出す「反応」のひとつなのです。
脳の中には、行動を起こすかどうかを決める仕組みがあります。その仕組みの中心にいるのが、「ドーパミン」と呼ばれる物質です。ドーパミンは脳内で分泌される化学物質で、私たちに「やってみよう!」という気持ちをもたらしてくれます。
つまり、やる気がわかないのはあなたが怠け者だからではありません。ドーパミンがうまく分泌されていないだけなのです。これを知るだけで、少し気が楽になりませんか?
ドーパミンは「もらったとき」より「期待しているとき」に出る
ドーパミンについて、面白いことがわかっています。それは、「ご褒美をもらったとき」よりも、「ご褒美をもらえそうだと期待しているとき」のほうが、たくさん分泌されるということです。
たとえば、宝くじを当選したときよりも、「もしかしたら当たっているかも!」とドキドキしながら引換所に向かっているときのほうが、気分が高まりますよね。あの感覚がまさにドーパミンの働きです。
つまり脳は、「結果」よりも「期待感」に強く反応します。この性質を上手に使えば、やる気を引き出しやすくなるのです。
「やる気が出てから始める」は大きな誤解
「やる気が出たら始めよう」と思っていると、いつまでも始められません。実はこれ、脳の仕組みから考えると逆なのです。
脳は、行動を始めてからドーパミンを分泌し始める性質があります。つまり、「やる気が出るから動く」のではなく、「動くからやる気が出る」という順番なのです。
これを「作業興奮」と言います。机に向かってとりあえず1分だけ教科書を開いてみる。メールをひとつだけ返信してみる。そのほんの小さな一歩が、脳を動かすスイッチになってくれるのです。
脳が「めんどう」と感じる理由
新しいことや苦手なことに取りかかるとき、脳は強い抵抗感を示します。これは脳の「前頭前野」という部分がエネルギーを大量に消費するため、省エネしようとする働きによるものです。
脳はとても燃費を気にする臓器です。慣れていないことはエネルギーを食うので、本能的に避けようとします。だからこそ「めんどくさい」という感覚が生まれるのです。
逆に言えば、少しずつ慣れていけば脳はだんだんと省エネで動けるようになります。習慣化が「やる気を必要としない状態」を作ってくれるのです。
やる気を引き出す、今日からできる3つのコツ
脳の仕組みを活かして、やる気を上手に引き出す方法をご紹介します。
ひとつ目は、「小さく始める」こと。2分でできる小さなタスクから手をつけると、脳のスイッチが入りやすくなります。ふたつ目は、「ご褒美を先に決める」こと。終わったらカフェに行く、好きなドラマを見る、など期待感を作っておくのが効果的です。みっつ目は、「同じ時間・同じ場所でやる」こと。脳は習慣のパターンを好み、繰り返すほど自動的に動き出せるようになります。
どれも難しいことは何もありません。まずはひとつだけ、今日から試してみてくださいませ。
おわりに
いかがでしたか?やる気とは待つものではなく、脳の仕組みを味方につけて引き出すものだとおわかりいただけましたでしょうか。あなたの中にやる気がないのではありません。ただ、スイッチの押し方を知らなかっただけのこと。次からは、小さな一歩を踏み出すことへの罪悪感を手放してあげてくださいませ。次回の第9回では、「集中力のしくみ」についてお話しいたします。どうぞお楽しみに。
