リーダーシップ論講座【初級編】第2回:リーダーシップとマネジメントの違い
サマリ
リーダーシップとマネジメントは混同されやすい概念ですが、実は大きく異なります。マネジメントは「今あるものを効率的に管理すること」、リーダーシップは「組織を新しい方向へ導くこと」です。両方が必要とされる現代組織の実態を理解しましょう。
詳細
なぜ二つの言葉が混同されるのか
日本企業では長らく「リーダー=管理職」と認識されてきました。そのため、課長や部長といった管理職をリーダーと呼ぶことが多いのです。しかし欧米のマネジメント理論では、この二つは明確に区別されます。ハーバード・ビジネス・スクールのジョン・コッターが提唱した理論によれば、組織における両者の役割は実は正反対に近いものなのです。
マネジメントとは
マネジメントは「管理」「統制」を意味します。具体的には、現在持っている資源(人・物・金・情報)を効率的に配分し、計画通りに実行することです。
マネジメントの主な機能を挙げると、以下の5つになります。計画を立てること、組織構造を作ること、人事配置を行うこと、統制・監視すること、そして報告を受けることです。
マネジメントの目標は、決められたゴールを、コストを抑えて達成することです。安定性や効率性を重視します。予算管理や日程管理が典型的なマネジメント業務ですね。調査によれば、マネジメント能力が高い組織では、業務効率が平均15~20%向上するとされています。
リーダーシップとは
一方、リーダーシップは「指導」「啓発」を意味します。自分のビジョンや価値観を共有し、他者を鼓舞して新しい方向へ導くことです。
リーダーシップが行うことは、ビジョンを描くこと、それを他者に伝えることです。そして人々のモチベーションを高め、変化への抵抗を乗り越えさせます。
リーダーシップの目標は、組織を新しい方向へ導き、変革を実現することです。創意工夫や革新性を重視します。新規事業立ち上げや組織改革が典型的なリーダーシップ活動です。
具体的な違いの例
会社が経営危機に陥ったとしましょう。マネジメント型の管理職は、現在の資源を最大限活用して、赤字を最小限に抑えることに注力します。コスト削減、業務プロセスの効率化、在庫管理の厳格化などですね。
一方、リーダーシップ型の人物は、このままではいけないというビジョンを描きます。新しい事業の方向性を提示し、チーム全体を鼓舞して変革へ向かわせるのです。失敗の可能性もありますが、組織の未来を大きく変える可能性があります。
現代組織に両方が必要な理由
今日の企業経営において、マネジメントだけでは不十分です。市場変化のスピードが加速し、技術革新が急速に進む現在、組織は常に変革を求められています。
一方、リーダーシップだけでも上手くいきません。どんなに素晴らしいビジョンも、それを実現するための計画や予算配分がなければ絵に描いた餅になります。
理想は、両方の能力を備えた人材です。マッキンゼーの調査では、リーダーシップとマネジメント両方に優れた管理職のいる組織は、そうでない組織と比べて生産性が35%高いというデータがあります。
あなたはどちらのタイプ
自分がマネジメント型かリーダーシップ型かを知ることは重要です。自分の強みを理解することで、キャリアの方向性も見えてきます。
完璧さを求める、プロセスを大切にする、という特性があればマネジメント適性があるでしょう。一方、夢や理想を語るのが好き、変化を恐れない、という特性があればリーダーシップ適性があります。
ただし、どちらか一方だけに偏るのではなく、不足している領域の学習と成長を心がけることが大切です。現代のビジネスパーソンには、両方の視点が求められているのです。
