プロジェクトマネジメント講座【初級編】第6回:プロジェクトスケジュール作成のコツ
サマリ
プロジェクトを成功させるには、綿密なスケジュール作成が欠かせません。この記事では、実務で使える具体的なスケジュール作成のコツを6つ紹介します。成功率の高いプロジェクトマネージャーがどのようにスケジュールを立てているのかを学びましょう。
詳細
スケジュール作成が重要な理由
データから見ても、スケジュール管理の重要性は明らかです。Project Management Institute(PMI)の調査によると、プロジェクト失敗の原因の35%はスケジュール遅延だと報告されています。つまり、適切なスケジュール作成ができていれば、3分の1以上の失敗を防げるということです。
スケジュールは単なる予定表ではありません。プロジェクト全体の羅針盤であり、チーム全員が同じゴールに向かうための指針になるのです。
まずは全タスクを洗い出す
スケジュール作成の第一歩は、プロジェクトに必要なすべてのタスクを書き出すことです。大きなタスクと小さなタスクを区別せず、思いついたものを全て記載してください。
このとき、よくある間違いが「重要だと思うタスクだけを書く」という行為です。些細だと思うタスクが、実は全体の進行を大きく左右することもあります。データベース構築、テスト、ドキュメント作成、レビュー、承認取得など、すべてを含めましょう。
タスクを階層化する(WBS作成)
洗い出したタスクを階層化する方法をWBS(Work Breakdown Structure)と呼びます。これはプロジェクト管理の基本ツールです。
例えば「Webサイト構築プロジェクト」であれば、最上位は「プロジェクト全体」。その下に「要件定義」「設計」「開発」「テスト」「運用開始」といった大分類があり、さらにその下に「トップページのデザイン」「商品ページの機能実装」といった中分類、「ボタンの色決定」といった細分類があります。
この階層化により、全体像が見やすくなり、漏れやすいタスクも発見しやすくなります。
各タスクの所要期間を推定する
次に、それぞれのタスクにどのくらいの時間がかかるかを見積もります。これを「工数見積もり」と呼びます。
初心者がよくやる失敗は「理想的な条件での時間」を見積もることです。実際にはメールの対応、会議、想定外のバグ対応などで時間を取られます。過去の類似プロジェクトのデータがあれば活用し、ない場合は25~30%程度の余裕を加算することをお勧めします。
また、複数人が見積もる場合は、異なる結果になることもあります。その場合は平均値を取るのではなく、最も経験豊富なメンバーの意見を重視してください。
タスク間の依存関係を把握する
全タスクの所要期間が把握できたら、次はタスク同士の関係性を整理します。「設計が終わらないと開発が始められない」といった依存関係です。
これを図にしたものがガントチャートやネットワーク図です。ガントチャートを使うと、各タスクがいつからいつまで実行されるのかが視覚的にわかります。横軸に時間、縦軸にタスクを配置し、バー状に表示するシンプルな形式です。
Microsoft Excelやスプレッドシート、専門のプロジェクト管理ツールを使って作成すると、スケジュール変更時の自動計算ができて便利です。
クリティカルパスを特定する
全タスクをつなぎ合わせると、スケジュール全体の長さが決まります。このプロジェクト完了までの最短経路を「クリティカルパス」と呼びます。
クリティカルパス上にあるタスクは、1日の遅れもプロジェクト全体の遅延につながります。つまり、ここに経験豊富なメンバーを配置し、重点的に管理する必要があります。
クリティカルパスの長さが納期を超えていれば、スケジュール短縮対策が必要です。タスクの並列化や外注化、資源投入を検討します。
バッファを組み込む
完璧なスケジュールはありません。必ず予想外のことが起きます。データでは、プロジェクトの15~20%程度のバッファを最後に追加することで、納期達成率が大幅に向上することがわかっています。
バッファはプロジェクト終盤に一括で入れるのではなく、リスクの高いタスク前後に散りばめることをお勧めします。そうすることで、局所的な遅延がプロジェクト全体に波及するのを防げます。
定期的にスケジュールを見直す
スケジュール作成後も、毎週のプロジェクト会議で進捗状況を確認し、必要に応じて見直してください。実績と計画のズレが早期に発見できれば、打ち手も柔軟に対応できます。
スケジュール管理は一度作ったら終わりではなく、継続的な改善活動だと認識することが、プロジェクト成功の秘訣です。
