プロジェクトマネジメント講座【中級編】第11回:進捗管理とEVMの活用
サマリ
プロジェクトの進捗を正確に把握することは、成功の鍵となります。本記事では、進捗管理の重要性と、EVM(アーンドバリュー・マネジメント)という強力なツールについて解説します。これらを活用することで、プロジェクトの遅延やコスト超過を早期に発見し、対応できるようになります。
詳細
進捗管理が重要な理由
プロジェクト管理において、進捗管理は最も重要なタスクのひとつです。なぜなら、現状を正確に把握できなければ、問題が深刻化するまで気づかないからです。
統計によると、進捗管理が徹底されているプロジェクトでは、プロジェクト完了率が92%に達する傾向があります。一方、進捗管理が不十分なプロジェクトは、完了率が68%程度に落ち込みます。この差は、24ポイントという大きな差です。
進捗管理を通じて、以下の情報が手に入ります。まず、実際の進捗状況です。次に、予定との乖離(かいり)です。そして、このままいくと予想される完了日時です。これらの情報があれば、早期に対応策を立てられます。
EVM(アーンドバリュー・マネジメント)とは
EVM(アーンドバリュー・マネジメント)は、進捗管理を数値化する手法です。スケジュール管理とコスト管理を同時に行える優れた方法として、大規模プロジェクトで採用されています。
EVMの基本は、3つの価値の比較です。第一は「計画上の価値」です。これは当初計画しいたコストです。第二は「実績値」です。これは実際にかかったコストです。第三は「アーンドバリュー」です。これは、実際の進捗に基づいて算出した価値です。
例を挙げます。200万円の予算で100ドルの作業を行う予定だったとしましょう。実際には50%しか進んでいません。実際のコストは150万円です。この場合、計画上の価値は200万円、実績値は150万円、アーンドバリュー(50%完成時点での価値)は100万円となります。
EVMの主要指標:SV(スケジュール差異)
SV(スケジュール差異)は、アーンドバリューと計画上の価値を比較する指標です。計算式は「SV=アーンドバリュー−計画上の価値」です。
前述の例で計算すると、SV=100万円−200万円=−100万円となります。マイナス値は、スケジュールが遅れていることを示します。プロジェクトが予定通り進んでいるとき、SVはゼロに近づきます。
SV指数(SPI)は、より直感的に理解できる指標です。計算式は「SPI=アーンドバリュー÷計画上の価値」です。先ほどの例では、SPI=100万円÷200万円=0.5となります。SPIが1.0なら予定通り、1.0より大きければ予定より進んでいる、1.0より小さければ遅れていることを意味します。
EVMの主要指標:CV(コスト差異)
CV(コスト差異)は、アーンドバリューと実績値を比較する指標です。計算式は「CV=アーンドバリュー−実績値」です。
先ほどの例で計算すると、CV=100万円−150万円=−50万円となります。マイナス値は、予定よりもコストがかかっていることを示します。
CV指数(CPI)も有用です。計算式は「CPI=アーンドバリュー÷実績値」です。例では、CPI=100万円÷150万円=0.67となります。CPIが1.0なら予定通りのコスト、1.0より大きければ予定より効率よく進んでいる、1.0より小さければ予定より余分にコストがかかっていることを意味します。
EVMを実務に活用するコツ
EVMは数字が複雑に見えるかもしれません。しかし、実務では以下の使い方をおすすめします。
まず、毎週もしくは隔週で数値を計算する習慣をつけましょう。継続することで、トレンドが見えます。次に、SVとCVの両方を監視する必要があります。スケジュール遅れとコスト超過は別の問題だからです。最後に、数値が悪化傾向の場合は、すぐに原因分析と対応策立案に着手しましょう。
EVMの導入には初期学習が必要です。ただし、一度理解すれば、プロジェクトの健全性を数値で可視化できます。これはマネジャーの意思決定の質を大きく向上させます。進捗管理の強化を検討されている方は、ぜひEVMの導入を検討してみてください。
