サラリーマンの独立起業講座【中級編】第5回:初期段階での人材採用戦略
サマリ
起業初期に「誰を雇うか」は事業の成否を大きく左右します。この記事では、限られた予算の中で最適な人材を採用し、チーム構築する実践的な戦略をお伝えします。多くの起業家が陥りやすい採用ミスを避け、スムーズなスタートを切るポイントをまとめました。
詳細
起業初期の採用課題:なぜ難しいのか
起業して最初の12ヶ月は、経営者の多くが「人材採用」で悩みます。理由は単純です。予算が限られているのに、優秀な人材を必要とするからです。
一般的に、起業初期の人件費予算は売上の20~30%程度が目安とされています。例えば月商100万円の事業であれば、人件費は月20~30万円が現実的な水準です。この予算で正社員を1名雇うことさえ難しい状況も珍しくありません。
そこで重要なのが「採用戦略」です。闇雲に人を雇うのではなく、事業段階に応じた最適な人材構成を考える必要があります。
ステージ別採用モデル:何人、いつ雇うか
起業初期は3段階に分けて採用を計画するのがおすすめです。
第1段階(売上0~300万円)は「ほぼ一人経営」です。経営者自身が営業・企画・実務をこなします。この時期に必要なのは「外注」や「パート」です。実務補助者を週2~3日、単価2000~2500円程度で雇うイメージです。年間予算なら60~90万円で賄えます。
第2段階(売上300万~1000万円)になると、初めて「専任スタッフ」の採用を検討します。この段階で月給25~30万円の事務職1名が現実的です。経営者がやっていた定型業務を譲れるため、経営者は戦略的な業務に注力できるようになります。
第3段階(売上1000万円以上)では、部門ごとの専門人材を増やしていきます。営業1名、企画1名といった具合です。この段階では年1~2名程度の採用ペースが適切です。
採用前に整理すべき5つのポイント
実際の採用活動に入る前に、必ず整理すべき項目があります。
1つ目は「業務の棚卸し」です。経営者が現在やっている業務をすべてリストアップします。営業・事務・企画など。その中から「外注できる業務」と「人を雇って内製すべき業務」を分けます。
2つ目は「必要なスキル」の定義です。曖昧な募集文は応募者も困ります。例えば「営業ができる人」ではなく「BtoB営業経験3年以上」と明確にすることが大切です。
3つ目は「雇用形態の決定」です。正社員・契約社員・パートのどれが最適か判断します。初期段階なら契約社員やパートの方が柔軟です。
4つ目は「予算設定」です。給与だけでなく、採用にかかる費用(求人媒体代、面接日数など)も計上します。
5つ目は「採用スケジュール」です。「3ヶ月以内に採用完了」など期限を決めます。いつまでもダラダラ採用活動をしてはいけません。
採用コストを抑える4つの現実的な方法
資金が限られている起業初期だからこそ、採用コストの工夫が重要です。
1つ目は「クラウドソーシング」の活用です。データ入力・ライティング・設計図作成など、単発の業務を外注できます。月1~5万円程度の予算で必要な作業を補完できます。
2つ目は「友人・知人からの紹介」です。採用媒体を使わず、実際に信頼できる人から紹介を受けるルートです。試しに知人に「こんな人材を探している」と伝えてみましょう。
3つ目は「地域のハローワーク」の活用です。求人掲載が無料で、職業訓練校の修了生など意欲の高い人材が登録しています。
4つ目は「業務委託契約」の活用です。個人事業主に特定の業務を委託する方法です。雇用契約でないため、社会保険の負担がなく、プロジェクトベースで料金を設定できます。
採用後の育成が利益を左右する
採用は「ゴール」ではなく「スタート」です。その後の育成が重要です。
初期段階の新しいスタッフには、最初の1ヶ月間は「オンボーディング」に時間をかけましょう。経営者が1~2時間程度、事業や業務内容をていねいに説明することです。この投資が後々の生産性を大きく左右します。
また、月1回の面談を設定し、業務上の課題や改善案を聞く体制を作りましょう。スタッフからの意見が、ビジネス改善につながることはよくあります。
最後に:焦らない採用が成功の秘訣
「人が足りない」という焦りから、判断を誤る経営者は多いです。ただし採用ミスは、その後の軌正に大きなコストがかかります。
初期段階では、少し人手不足でも、既存スタッフの質を重視する方が結果的に利益につながります。焦らず、戦略的に採用を進めてください。
