サラリーマンの独立起業講座【中級編】第14回:リスク管理と事業継続計画の策定
サマリ
事業を続けていく上で、想定外の出来事は必ず起こります。経営者として重要なのは、そうしたリスクに事前に備えることです。本記事では、事業継続計画(BCP)の基本と、実践的なリスク管理手法を解説します。準備の有無で、危機的状況での対応力に大きな差が出ます。
詳細
リスク管理が必要な理由
日本中小企業庁の調査によると、起業から5年以内に約50%の企業が廃業しています。その理由は売上不足や人材確保の困難さだけではありません。予測できないリスク、例えば急な経営者の病気、仕入先の倒産、システムトラブルなども大きな要因です。
サラリーマンと違い、経営者には誰もサポートしてくれません。リスクが顕在化してから対応するのでは遅すぎるのです。事前に「何が起こりうるか」を想定し、「どう対応するか」を決めておくことが、事業の安定性を大きく高めます。
リスクの種類を洗い出す
まず重要なのは、自分の事業にどんなリスクがあるかを把握することです。一般的なリスクは以下のカテゴリに分かれます。
まず「外部環境リスク」があります。経済不況、急な法律改正、競合他社の出現、自然災害などが該当します。次に「内部運営リスク」で、従業員の退職、経営者本人の病気やけが、重要な顧客の喪失などです。さらに「財務リスク」として、資金繰りの悪化や予期しない大口支出が考えられます。そして「技術・システムリスク」では、サイバー攻撃やデータ消失も無視できません。
自分の事業について、各カテゴリで具体的に「起こりうる悪い事態」を10個以上書き出してみましょう。この作業が不十分だと、後の対策も中途半端になります。
リスクの優先順位をつける
全てのリスクに対応することは不可能です。そこで「発生確率」と「影響度」の二軸で評価します。発生確率は「起きやすいか」、影響度は「起きたときの経営ダメージの大きさ」です。
例えば、資金繰りが悪化する可能性は「中程度の確率」で「非常に大きな影響」があります。重要な営業担当者が退職する可能性は「低い確率」ですが「大きな影響」があるかもしれません。一方、軽微なシステムエラーは「高い確率」ですが「小さな影響」です。
優先順位が高いのは「確率が高く影響が大きい」リスク、次が「確率は低いが影響が極めて大きい」リスクです。ここから対応計画を立てていきます。
事業継続計画(BCP)を策定する
事業継続計画とは、何か起きた時に「事業をどう続けるか」を決めた計画書のことです。難しく聞こえますが、シンプルには「もし○○が起きたら、△△をする」という具体的なアクションプランです。
まず「最も対策が必要なリスク」を5個選びます。そしてそれぞれについて以下を決めます。起きた直後の初期対応は何か。その後、事業を再開させるにはどうするか。代替手段があるなら何か。必要な連絡先や資料はどこにあるか。
例えば、もし自分が1ヶ月入院したら、誰が営業を担当するのか。顧客への連絡は誰が行うのか。請求書は誰が発行するのか。こうした具体的な体制を決めておくことが重要です。
財務的なリスク対策
起業初期段階でよくあるのが「資金繰り破綻」です。帝国データバンクの調査では、倒産企業の約67%が「黒字倒産」という状況です。つまり赤字でなく、単に現金がなくなったせいで事業継続できなくなっています。
対策として、まず月次の資金繰り表を作成しましょう。3ヶ月先の売上と支出を予測することで、資金が足りなくなるタイミングが見える化します。次に「いざという時の資金源」を確保しておきます。経営者個人の貯蓄、小額でも借入枠の事前確保、売掛金の早期回収スキームなどです。
さらに大切なのが「固定費の最小化」です。毎月必ず出ていく費用を減らしておくことで、売上が減った時のダメージが小さくなります。
人的リスク対策
一人で経営している場合、経営者本人が動けなくなると事業は止まります。最低限、以下の対策を取りましょう。
まず「業務マニュアル」を作成します。自分がやっている仕事の流れを文書化しておくと、代理人でも対応しやすくなります。次に「信頼できる相談相手」を複数確保します。税理士、経営コンサルタント、同業他社の経営者など、有事の際に頼れる人間関係を築いておくことが重要です。また可能であれば「協力してくれる人材」を確保しましょう。知人や家族で、最低限のサポートができる体制があると安心です。
定期的な見直しが鍵
リスク管理と事業継続計画は、作成して終わりではありません。事業環境は常に変わります。半年ごと、少なくとも年1回は見直しましょう。新しいリスクが生まれていないか、優先順位に変化がないか、対策は実行可
