アカウンティング講座【中級編】第14回:減価償却方法の選択と変更
サマリ
減価償却の方法は会社が複数の選択肢から選べます。定額法と定率法が主流ですが、選択した方法は原則として変更できません。ただし一定の条件下では変更が認められています。経営戦略と税務効果を踏まえた方法選択が重要です。
詳細
減価償却方法とは何か
固定資産(建物や機械など)は年々価値が減少していきます。この減少分を毎年の経費として計上する仕組みが減価償却です。その方法には複数のやり方があり、企業が自由に選択できるのです。選択した方法によって、毎年計上できる経費額が大きく変わります。そのため、経営者にとって重要な経営判断となります。
定額法のポイント
定額法は最も一般的な減価償却方法です。資産の購入価格から残存価額を差し引いた金額を、耐用年数で均等に割って毎年計上します。例えば100万円の機械で耐用年数が5年、残存価額が10万円の場合、毎年18万円ずつ経費になります。(100万円-10万円)÷5年=18万円です。
定額法の最大の利点は計算が単純で分かりやすいことです。経営がどうであれ毎年同じ金額が経費になるため、利益予測がしやすいです。また、利益が少ない時期にも同額の経費計上ができるメリットもあります。
定率法のポイント
定率法は最初の数年の減価償却費が大きくなる方法です。資産の帳簿価額に一定の償却率を掛けて計算します。初期投資を早期に回収したい場合に有効です。例えば100万円の機械に30パーセントの償却率を適用すると、1年目は30万円、2年目は21万円、3年目は14万7千円という具合に年々減少していきます。
定率法の長所は初期段階での経費が大きいため、購入直後は節税効果が高いことです。初期投資が重い事業では利益圧縮に役立ちます。ただし計算がやや複雑で、毎年金額が変わるため予測が難しい側面があります。
その他の減価償却方法
生産高比例法という方法も存在します。これは資産がどれだけ使われたかで減価償却を計算する方法です。例えば機械が100万個の製造を予定しており、1年目に40万個製造した場合、その年の減価償却費は想定価値の40パーセント相当になります。生産量が多い年は経費が大きくなるため、売上と経費のバランスを取りやすいのが特徴です。
減価償却方法の選択と税務
日本の税法では、原則として定額法で計算するよう定められています。ただし一定の資産については定率法の使用も認められています。2024年現在、大部分の機械装置は定率法の選択が可能です。一方、建物は定額法のみの適用となります。
経営者にとって重要なのは、この選択をいつまでにするかという点です。固定資産を取得した年の決算申告時に方法を選択する必要があります。その後は原則として変更できません。つまり購入時の慎重な検討が必須なのです。
減価償却方法の変更が認められる場合
一度選択した方法は変更できないが、例外があります。重大な過誤があった場合や、事業内容の大幅な変更があった場合など、税務署の許可を得れば変更が認められる場合があります。
例えば機械メーカーが主力商品をシフトさせ、既存機械の使用頻度が大きく低下した場合、税務署に申請することで生産高比例法への変更が許可される可能性があります。ただしこうした変更は極めて例外的で、単なる経営判断では認めてもらえません。
実務上の選択のポイント
どの方法を選ぶかは、会社の経営戦略と密接に関連しています。初期段階で利益を圧縮したい成長企業なら定率法が適切です。一方、安定した利益を計上したい企業なら定額法が向いています。
また顧問税理士との相談も重要です。専門家の視点から、中長期的な税負担を考慮した助言を受けることで、より良い選択が可能になります。減価償却方法の選択は一度きりの決断であるため、購入前の段階からしっかり検討する習慣を身につけましょう。
