アカウンティング講座【上級編】第19回:非支配株主持分の変動と包括利益の構成
サマリ
連結決算において、子会社の少数株主に帰属する利益や損失を「非支配株主持分」といいます。この変動は包括利益にも影響を与えます。本記事では、非支配株主持分の計算方法と包括利益における位置付けについて、わかりやすく解説します。
詳細
非支配株主持分とは何か
親会社が子会社の株式を100%保有していない場合、子会社に対する少数株主の権利を「非支配株主持分」と呼びます。わかりやすく言えば、親会社以外の株主が子会社に対して持っている持分のことです。
例えば、親会社が子会社の株式70%を保有していれば、残りの30%は他の株主が保有しています。その30%分の権利が非支配株主持分になります。
連結決算では、子会社の全ての資産と負債を親会社のグループ決算に含めます。しかし、その子会社で生じた利益や損失をどう扱うかが重要になるのです。
非支配株主持分の計算ステップ
非支配株主持分の変動を追跡することは、正確な連結決算を作成する上で不可欠です。計算は以下のステップで行われます。
まず、子会社の純資産(資産から負債を引いた額)を計算します。次に、非支配株主が保有する比率を掛けます。親会社が子会社の70%を保有していれば、非支配株主の持分は子会社純資産の30%です。
例を挙げましょう。子会社の純資産が1,000万円で、非支配株主の持分率が30%の場合、非支配株主持分は300万円となります。子会社で利益が100万円出たら、非支配株主に帰属する部分は30万円です。
包括利益における非支配株主持分の位置付け
包括利益は、企業が一会計期間に得た全ての利益の増加を表します。当期純利益だけでなく、売却可能有価証券の評価差額など、通常の利益計算に含まれない利益も含めるのです。
連結決算では、子会社の包括利益も親会社のグループに含めます。子会社が1,000万円の包括利益を計上したとき、その70%である700万円は親会社に帰属し、残りの30%である300万円は非支配株主に帰属します。
重要なのは、非支配株主に帰属する部分を親会社の包括利益から控除することです。そうしないと、親会社株主に帰属しない利益をカウントしてしまうからです。
非支配株主持分の変動要因
非支配株主持分は、いくつかの要因により変動します。最も一般的なのは、子会社の当期利益です。子会社が利益を出せば、その利益の一部は非支配株主に帰属します。
次に、配当金があります。子会社が配当を実施すれば、非支配株主もその配当を受け取ります。これにより非支配株主持分が減少します。
さらに、親会社が追加で子会社株式を買い増しすることも、非支配株主持分に影響を与えます。親会社の持分が増えれば、相対的に非支配株主の持分比率は低下するのです。
その他、その他包括利益の変動や、子会社で発生した資本取引なども、非支配株主持分の増減要因となります。
連結貸借対照表での表示方法
非支配株主持分は、連結貸借対照表の純資産の部に記載されます。具体的には、親会社株主帰属持分と非支配株主持分に分けて表示するのが標準的です。
例えば、連結純資産が10,000万円で、親会社が80%を支配していれば、親会社株主帰属持分が8,000万円、非支配株主持分が2,000万円となります。
この表示方法により、どの程度の持分が親会社株主に帰属し、どの程度が少数株主に帰属しているかが一目瞭然になります。
連結損益計算書での表示方法
連結損益計算書では、当期純利益の直前に「非支配株主に帰属する利益」という項目を設けます。これにより、グループ全体の利益から非支配株主の取り分を控除し、親会社株主に帰属する利益を算出するのです。
例えば、子会社を含むグループ全体で1,000万円の利益が出ても、非支配株主に100万円が帰属すれば、親会社株主に帰属する利益は900万円になります。
実務上の注意点
非支配株主持分の計算において、よくある誤りは持分比率を間違えることです。親会社の直接保有だけでなく、孫会社を通じた間接保有も含める必要があります。
また、取得会計の処理も重要です。子会社を新たに買収した場合、その時点での非支配株主持分をいくらで測定するかは、会計方針により異なります。親会社の買収額に基づく方法と、子会社全体の公正価値に基づく方法の2通りがあるのです。
さらに、段階的な株式取得により支配を獲得した場合、段階取得日における再測定利益が発生します。この処理の適否が決算の正確性に大きく影響するため、細心の注意が必要です。
非支配株主持分の処理は複雑に見えますが、根本的な考え方は単純です。グループの利益や資産を、親会社株主とそれ以外の株主で公正に按分するという原則を理解すれば、多くの問題は解決できるでし
