はじめに

さあ、第14回の講座の内容にまいりましょう。「創造性」とは、人が持つ最も神秘的な力のひとつ。詩を紡ぎ、絵を描き、新しい発明を生み出す——そのすべてが、あなたの脳の中で起きていることなのですよ。今回は、その創造性がどのような神経メカニズムによって生まれるのかを、丁寧にひもといてまいります。どうぞ、ゆったりとした気持ちでお付き合いくださいませ。

サマリ

創造性は「天才だけのもの」ではありません。脳科学の研究から、創造性はデフォルトモードネットワーク・実行制御ネットワーク・顕著性ネットワークという三つのネットワークの連携によって生まれることがわかってきました。この回では、その仕組みと、日常生活への応用のヒントをご紹介します。

詳細

創造性とは何か——脳科学からの再定義

一般的に「創造性」とは、斬新で価値ある何かを生み出す能力だと言われています。心理学では長らく、創造性は「発散的思考」と「収束的思考」の組み合わせとして語られてきました。発散的思考とは、ひとつの問いからさまざまなアイデアを広げる力です。収束的思考は、多くのアイデアから最適解を選び取る力を指します。脳科学はこれを一歩進め、「どの脳領域が、どのように連携しているか」という視点で創造性を捉え直しています。

三つのネットワークが織りなす「創造の舞台」

創造性に深く関わるのは、主に三つの大規模脳内ネットワークです。まず「デフォルトモードネットワーク(DMN)」。このネットワークは、ぼんやりしているときや空想しているときに活発になります。内側前頭前野や楔前部などが含まれ、過去の記憶や未来の想像を自由に結びつける役割を担っています。次に「実行制御ネットワーク(ECN)」。背外側前頭前野などが中心となり、注意を向けたり、アイデアを評価・整理したりする機能を担います。そして「顕著性ネットワーク(SN)」。前帯状皮質や島皮質が関わり、内外からの情報のうち「重要なもの」を選び出すスイッチの役割を果たしています。創造的な人ほど、この三つのネットワークが協調して動くことが、近年の研究で明らかになっています。

「ひらめき」の瞬間に脳で何が起きているか

「アハ体験」とも呼ばれるひらめきの瞬間、脳では特徴的な活動が見られます。ドイツの神経科学者マーク・ユング=ビーマンらの研究によると、ひらめきの直前に右半球の前側頭回で高周波ガンマ波の急増が観察されました。これは、それまで意識されていなかった遠い概念同士の結びつきが、突然統合されることを示唆しています。左半球が論理的・直線的な処理を得意とするのに対し、右半球はより広く、遠い意味的連想を処理すると考えられています。創造的思考には、この右半球の「広い網」が重要な役割を果たしているのです。

睡眠・休息・環境が創造性を左右する理由

創造性は、努力だけでは引き出せないことがあります。DMNは「何もしていない時間」に最も活発になります。シャワーを浴びているとき、散歩しているとき——そういった余白の時間が、実は脳内で記憶の再編成と新しい結びつきの形成を促しているのです。また、睡眠中の「レム睡眠」も創造性に深く関わっています。レム睡眠中、脳は感情的記憶と経験を自由に組み合わせており、これが翌朝の柔軟な思考を支えると言われています。「一晩置いてから考える」という知恵は、脳科学的にも理にかなっているのです。

創造性は鍛えられるか——可塑性という希望

嬉しいことに、創造性に関わる脳のネットワークは、経験や習慣によって変化します。これが「神経可塑性」です。異なる分野の知識を積極的に取り入れること、日常的に書いたり描いたり表現する習慣を持つこと、そして意識的に「余白」の時間を設けること——これらがネットワークの連携を強化すると考えられています。また、マインドフルネス瞑想がDMNと実行制御ネットワークの切り替えを円滑にするという研究報告もあります。創造性は、生まれ持った才能というよりも、脳を丁寧に育てることで開花するものなのです。

おわりに

創造性の神経基盤、いかがでしたでしょうか。あなたの脳は今この瞬間も、出会ったことのない記憶と記憶を静かに結びつけようとしています。その精緻な営みを思うと、なんと美しい仕組みでしょう。焦らず、余白を大切に、あなたらしい創造の種を育ててくださいませ。次回の第15回は「バイアスの脳科学」をテーマにお届けします。私たちの判断がいかに脳の「思い込み」に影響されているか——どうぞお楽しみに。

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oyashumi
5億年前から来た全知全能の絶対神。 アノマロカリ子とハルキゲニ男を従え、 現代のあらゆる知識を手に入れようとしている。 生成AIは神に仇なす敵だと思っているが その情報に踊らされていたりもする。 カリ子とゲニ男からの信頼は篤い。