サマリ

2025年は過去最高の5,115件・35.7兆円の取引実績を記録し、2026年もその勢いが続いています。事業承継型の小規模案件が市場を支える一方、大企業による戦略的なM&Aやクロスボーダー案件も活発化。円安環境下でも、経営者の高齢化や国内市場縮小への危機感が日本企業の海外進出意欲を高めています。

詳細

市場規模と全体トレンド

2025年の日本M&A市場は、件数・金額ともに過去最高水準を更新しました。件数は5,115件、取引金額は35.7兆円となり、前年の19.6兆円から約1.8倍に増加しています。2026年5月時点での件数は388件で、年間5,000件超の高水準が続くと予想されています。この背景には、構造的な要因として経営者の高齢化による事業承継ニーズの高まりがあります。中小企業庁の調査では、70歳以上の経営者が約245万人で、そのうち後継者不在が約127万人に上っています。

注目の大型買収案件

近年の主要案件を見ると、戦略的な大型買収が相次いでいます。三菱商事は2026年3月、米国の天然ガス開発会社ヘイインズビル・リソーシズを約1兆1,941億円で買収し、LNG調達基盤を強化しました。また日本製鉄は、2025年6月にUSスチールの買収を完了させるなど、エネルギー転換やGX関連への投資が目立ちます。金額ベースでは、日本企業による海外買収(IN-OUT)が約18.2兆円で全体の約51%を占めており、海外展開が市場拡大を主導しています。

事業承継と中小企業M&A

件数ベースで市場を支える主役は、事業承継を目的とした中小企業のM&Aです。国内案件は全体の約7割を占め、年商数百万円から1億円程度の小規模事業がマッチングサイトを活用して承継相手を見つけるケースが増えています。2026年3月末は事業承継税制の特例措置の申請期限となっており、認定支援機関への相談件数が増加中です。また事業承継・M&A補助金では、2026年6月中旬から7月下旬に15次公募の受付が開始予定で、小規模売り手支援類型も新設されました。

クロスボーダーM&Aの動向

円安環境下にもかかわらず、日本企業による海外買収(IN-OUT)は依然として高水準です。経営者の多くが「円安によるコスト増を懸念しつつも、国内市場縮小への危機感がそれを上回っている」と判断しており、戦略的な意思が明確になっています。特に東南アジアやインドをターゲットにした中堅企業による案件が増加し、かつてのメガ案件主体から成長市場の中堅企業への投資へシフトしています。一方、海外企業による日本企業買収(OUT-IN)も増加トレンドにあり、円安で割安になった日本企業へのファンドの関心が高まっています。

非公開化(MBO)トレンド

2025年から2026年の特筆すべき動きが、MBO(経営陣による自社株買い)による上場廃止です。2025年は28件の過去最多を記録し、経営の自由度を求める企業が増えています。東証の「資本効率改善要請」やアクティビスト株主の圧力を受け、短期的な株価や四半期決算に縛られない経営を志向する企業が、非公開化を選択する傾向が強まっています。ファンド活用によるMBOも増加し、再上場や第三者譲渡での収益化を見据えたスキームが拡大しています。

M&A市場の今後の展望

2026年のM&A市場は、2025年の高水準を引き継ぎながら、「量」から「質」への転換期を迎えています。件数は年間5,000件超の高い水準が続く見通しですが、単なる規模拡大よりも戦略的価値が重視されるようになっています。

企業経営者にとって注目すべきポイントは以下の通りです。まず事業承継では、税制特例措置の期限(法人版:2027年12月、個人版:2028年12月)が迫っており、早期の準備が必須です。特例承継計画の申請には2~3ヶ月の準備期間が必要なため、税理士や認定支援機関への相談は今からが重要です。次にクロスボーダーM&Aでは、円安が続く中でも「長期的成長投資」としての位置づけが続く見込みです。東南アジアやインドといった成長市場への進出を検討する企業は、戦略的なミドルサイズ案件の検討を進める時期といえます。さらに上場企業では、ガバナンス改革やPBR改善要請を背景に、事業ポートフォリオの見直しやカーブアウト(事業分離・売却)がより活発化する環境が続きます。金利上昇局面での資金調達コスト増も視野に入れた慎重な判断が求められます。最後に、M&A支援制度の活用も重要です。補助金や税制措置が段階的に強化される中、早期の相談と準備計画の策定が採択率向上につながる見通しです。

ABOUT ME
oyashumi
5億年前から来た全知全能の絶対神。 アノマロカリ子とハルキゲニ男を従え、 現代のあらゆる知識を手に入れようとしている。 生成AIは神に仇なす敵だと思っているが その情報に踊らされていたりする、愛すべき全知全能のアホ。 カリ子とゲニ男からの信頼は篤い。