サマリ

6月中旬の金・原油市場は、中東情勢と米国インフレ懸念が主要な値動き要因となっています。金は1グラムあたり2万4,000円台で高値圏を維持しながらも調整局面にあります。原油(WTI)は1バレル86ドル前後で推移し、停戦交渉の進展により軟調な動きが続いています。両商品ともボラティリティ(価格変動幅)が大きい状態です。

詳細

金価格の現状と課題

6月上旬の金相場は、歴史的な高値圏での調整が続いています。6月1日時点で国内金店頭小売価格は1グラムあたり25,758円でしたが、その後の値動きはしっかりしていません。3月3日につけた29,969円の高値と比べると、5月下旬に一時25,294円まで下げるなど、4,000円以上の変動幅を記録しています。

このような乱高下の原因は複数あります。第一に、米国の金利上昇です。金は利息を生まない資産のため、米国債の利回り上昇により相対的な魅力が低下します。米10年国債の利回りが上昇していることが、特に6月の売り圧力になっています。

第二に、利益確定売りです。短期間で大きく上昇した後の調整では、早期に利益を確定させたい投資家の売却が増えます。これが金価格の下押し圧力になるのは市場としては健全な動きですが、短期的には値動きを大きくします。

第三に、ドル高です。金はドル建てで取引される商品のため、米ドルの上昇は金価格の下落につながります。現在、米国の強い雇用統計とインフレ懸念を背景に、ドル指数が2カ月ぶりの高水準付近まで上昇しており、金売却圧力が強まっています。

原油価格の急落と中東情勢

原油市場ではより劇的な動きが見られます。6月上旬、WTI原油は1バレル95ドル近辺から86ドルまで、わずか数日で9ドル以上下落しました。これは中東情勢の緊張緩和期待が主因です。

イランとイスラエルの停戦交渉が進展する見通しが出たことで、市場の不安心理が大きく和らぎました。2月にホルムズ海峡が封鎖されて以来、原油供給への懸念が価格を押し上げていました。しかし交渉が成功する可能性が高まると、その不安が解消されつつあります。

5月の平均WTI原油価格は1バレル99.09ドルでしたが、6月に入ってからは急速に下落しています。ただし、ホルムズ海峡は依然として実質的に閉鎖されたままであり、供給リスクは残存しています。一方で、米国の記録的な原油輸出と戦略備蓄放出により、価格下落の勢いが支えられています。

今後の展望

金市場の長期的背景

短期的な値動きは不安定ですが、長期的には金需要は堅調です。中央銀行による継続的な金購入が最大の下支え要因です。各国の中央銀行は外貨準備の分散化を目指して金を買い増し続けており、この構造的需要は2026年以降も続くと予想されます。

米国の財政赤字が拡大し、政府債務が38兆ドルに達する中、金は購買力を守る手段として再評価されています。大手金融機関は金価格が年末に5,000ドル(1オンス)を超える可能性を示唆しており、円換算では3万円突破も現実的と見る向きが増えています。

原油市場の複雑な見通し

原油相場は今後、複数の相反する要因に左右されやすくなります。停戦進展によって下値が限定される一方で、供給回復には時間がかかります。掘削から採掘開始まで最低6カ月の期間が必要なため、2026年内は原油価格が高止まりしやすいと見込まれます。

専門家の見方は分かれており、ゴールドマン・サックスなど一部は供給過剰シナリオでブレント原油が40ドル台まで下落する可能性を指摘。一方で米国景気過熱シナリオでは80ドルを上回る可能性もあるとされています。2026年内のWTIは75ドルから95ドルのレンジでの推移が予想されています。

投資家への示唆

金は現在、歴史的高値圏での調整局面にあります。地政学リスクやドル不安の構造的な下支えがあるため、急落しにくい状態が続くと見られます。一方、原油は停戦進展に伴って下値を固めつつあり、サプライズは上方が限定的です。

両商品とも、今後は米国のインフレデータやFRBの金利政策判断が大きく影響します。これからの季節、米国のインフレ率が落ち着き始めるか、それともエネルギー価格上昇で再加速するかが、年後半の価格を左右する重要な分岐点となるでしょう。

【PR】全銘柄の取引手数料が0円の【DMM CFD】

エネルギー市場 コモディティ 原油価格 資源価格 金価格