2026年05月28日のM&A動向まとめ
サマリ
2025年のM&A件数は過去最多の5,115件、金額は35.7兆円の過去最高を更新しました。2026年現在、事業承継型M&Aと中堅企業向けのミドルサイズ案件が市場の主流です。東南アジア進出やDX対応を目的とした買収が活発で、国はAI導入を伴う「承継後の成長」を重視する補助金制度で支援しています。
詳細
2026年のM&A市場の特徴
2025年の日本のM&A件数は過去最多となる5,115件を記録し、取引金額も35.7兆円と過去最高額を更新しました。このうち内訳は日本企業同士のM&A(IN-IN)が4,086件、日本企業による海外企業買収(IN-OUT)が657件、海外企業による日本企業買収(OUT-IN)が372件です。
2026年現在は、数千億円規模の大型買収よりも、地域のシェア拡大や技術獲得を目的とした数億円から数十億円規模のミドルサイズ案件がM&A動向の主流となっています。
事業承継型M&Aの加速化
国内のM&A件数は高水準を維持しており、その中心は上場企業同士の大型案件ではなく、中小企業・非上表企業による事業承継型M&Aです。経営者が70歳以上の企業が約245万社まで増加し、そのうちの約127万社が後継者不在による廃業・倒産の危機に直面するであろうと予測されています。
2026年現在は、M&Aによって全く別の企業や若手起業家へ事業を譲渡するケースが主流となりました。政府も支援を強化しており、野村ホールディングス、伊藤忠商事、三井住友信託銀行は26年2月、中小企業の事業承継と事業成長を支援するプライベート・エクイティ(PE)ファンド「内部承継プラットフォーム投資事業有限責任組合(TSP)」を設立しました。
最新の買収案件トレンド
5月下旬のM&A市場では多様な業界での案件が活発です。芝浦機械は米国の超精密工作機械メーカーMoore Nanotechnology Systems, LLCを子会社化し、欧米市場での販売拡大を進めます。学研ホールディングスは、オンライン英会話大手のレアジョブを子会社化することで、語学領域の事業拡大につなげます。GMOペパボは、EC構築プラットフォーム運営のSmartECを子会社化することで、EC支援事業でのサービス拡充を見込みます。
DX対応と新事業への取り組み
デジタルマーケティングやSNS運用のウェブクルーの親会社FWを子会社化するインバウンドテック、または関通ホールディングスなど、DX(デジタルトランスフォーメーション)事業拡大を目指す案件が増えています。業界全体で、デジタル化への対応がM&Aの重要な動機となっています。
クロスボーダーM&Aの最新動向
2026年1-3月期の日本企業のM&A件数は1,295件で、前年同期比9.6%の増加となりました。現在は東南アジアやインドといった成長著しい市場の中堅企業を対象とした、戦略的なミドルサイズ案件も増加しています。
淺沼組はシンガポールのT3 International Pte. Ltd.を子会社化することで、ASEAN地域におけるリニューアル事業の強化につなげています。円安環境下でも、日本企業はより「質の高い」案件を厳選する傾向にあり、単なる売上規模の拡大ではなく、自社にない技術やビジネスモデルを取り込む「探索型」のM&Aが主流です。
M&A市場の今後の展望
金利変動や買い手による選別が進む2026年に向け、市場は「件数の拡大」から「質が問われる時代」へと移行しつつあります。経営者の高齢化、コスト削減、時間短縮、人材不足という課題が、今後もM&Aの需要を押し上げるでしょう。
特に注目すべきは、新しい評価軸の登場です。2026年の審査では、単なる引き継ぎよりも「承継後にどう成長させるか」というビジョンが重視されます。後継者が新しいITツールやAIを導入し、古い商売をアップデートする「経営革新」が評価されています。
2026年を見据えた経営では、自社の強みや業界内での立ち位置を客観的に把握し、M&Aを前提条件の一つとして整理しておくことが重要になります。企業規模を問わず、M&Aは現実的な経営判断として定着しつつあり、今後さらなる活況が予想されます。
